会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2018年11月29日

工作機械の決算堅調 4~9月期、大手16社20%増収 中国の需要動向注目

工作機械業界の2018年4~9月期決算は、大手工作機械メーカー16社の売上高が前年同期比20・2%増の3723億2300万円となるなど好調に推移した。日本工作機械工業会(飯村幸生会長)が22日に発表した10月の受注総額も23カ月ぶりの減少に転じてはいるが、前年同月比0・7%減と微減にとどまっており、「自動車関連を中心に概ね順調」(飯村会長)という状況。ただ、中国向けなど、アジアで需要が一段落しているほか、米中貿易摩擦による買い控えや反ダンピング調査の動きなども背景に、今後の需要動向が注目される。

工作機械の自動車向けの国内受注は、16年平均で約146億円、17年は同じく約168億円で推移し、18年も3月の267億円をピークにその後も同じく約205億円の高水準で推移している。外需も10月の受注では4カ月ぶりに250億円超となり、17カ月連続で前年実績を上回っている状況だ。
各社の18年4~9月期決算でも「自動車向け工作機械の販売が増加し増収増益」(コマツNTC)や「日本や北米の販売で売上高は13・5%増えた。今後は自動車のパワートレーンのトレンドの変化に対応する」(ジェイテクト)といった声が聞かれた。さらに「ロボマシン、ロボドリル(小型切削加工機)は自動車部品加工向けを中心に全般に堅調」(ファナック)、「国内や欧米など自動車関連の需要が堅調」(日精樹脂工業)といった分析が並ぶ。
一方、10月の中国向け全体の受注は前年同月比36・5%減で8カ月連続の減少となった。「アジア、特に中国は明らかに調整局面に入った。供給過剰を抑制するための政策施行や半導体産業の景況悪化、米中貿易摩擦による買い控えが起きている」(飯村会長)という状況。メーカー各社も「中国では自動車関連からの需要は底堅いものの、米国との貿易摩擦の先行き懸念もあり設備投資に慎重」(ソディック)などと見ている。
また、中国商務省は10月中旬、ファナックなどの日本の工作機械メーカーや台湾のメーカーに対し、立形マシニングセンターに関する反ダンピング(不当廉売)関税調査をすると発表し、進めている。また、販売価格を約119%に上げるよう求めた。

日本工作機械工業会は、中国に対して中国当局が実情に即した順当な判断を下すよう意見書を提出。台湾でも「かなりの会社が応訴している状況」(飯村会長)という。飯村会長は「自動車関連は今のところ標的としていないのではないか」と推測しているが、「中国政府の真意を測りかねる。購入者、ユーザーが困るだろう。関係者から情報を集める」と慎重な姿勢だ。

日刊自動車新聞11月26日掲載

開催日 2018年11月22日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本工作機械工業会

対象者 自動車業界