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2018年11月19日

〈西日本豪雨〉自然災害 中古車輸出を直撃

今秋の台風や水害が中古車輸出を直撃した。日本中古車輸出業協同組合(佐藤博理事長)がまとめた9月の中古車輸出実績は9万296台(前年同月比17・7%減)と2年半ぶりに減少した。

LAA関西ではヤード(車両置き場)で火災が発生し、100台以上が焼損。この他にも水没したり、強風で窓ガラスが割れる車両が続出した。ただ、1月からの累計では前年プラスを保っており、車両の修理が進めば輸出も回復しそうだ。

ニュージーランドやケニア、ウガンダ、スリランカ、タンザニアなど、輸出台数が多く、輸出前検査を義務づけている国への輸出が目立って減った。ニュージーランドは、今年2月に自動車運搬船内で見つかった害虫「クサギカメムシ」の対策として、9月から車両の熱処理検査を義務づけた。不慣れな検査に時間がかかった上、台風の影響で設備の故障も発生し、検査が遅れたという。同国向けの輸出は5303台(同52・1%減)と半減した。

ウガンダやケニアは、船積み前にJEVIC(日本輸出自動車検査センター)で日本の自動車検査(車検)に相当する検査を実施。内外装や足回り、排気系、計器類、ガラスの亀裂などをチェックする。飛来物などでガラスが割れたり、ボディーが傷ついた車両の修理が追いつかず、ウガンダは1386台(同33・9%減)、ケニアも6334台(同4・2%増)だが前月に比べ台数を減らした。タンザニアやスリランカも船積み前に日本自動車査定協会の検査を義務づける。タンザニアは内外装や排気系、ガラスなど6項目、スリランカはこれらに加えてタイヤの残溝なども見る。スリランカ向けは前年同月比54・4%増だったが、前月比では約2千台近く落ち込んだ。山銀通商(佐藤博社長、東京都品川区)では、スリランカ向けで比較的高年式な車両81台が被害を受け、5千万円以上の損失が発生。カーチスホールディングスの子会社、アガスタも輸出車両に被害を受けるなどし、今上期(2018年4~9月)は営業赤字を計上した。

ただ、18年1~9月期の中古車輸出実績は前年同期比2・4%増の97万7616台とプラス基調が続く。佐藤理事長は「台風被害の修理が完了する車が今後増えてくる。また、ニュージーランドも新たな検査を平準化しており、(今後は)大幅に回復するだろう」と話している。

日刊自動車新聞11月14日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本中古車輸出業協同組合

対象者 自動車業界