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2018年11月6日

ジェネクスト、運送事業者の道交法違反をチェック “みちびき”で精度向上

交通事故鑑定などを手がけるジェネクスト(笠原一代表、横浜市港北区)は、GPSの誤差を1メートル以内まで縮められる準天頂衛星システム「みちびき」に対応したGPSデータロガーを12月から発売する。みちびきは11月1日から本格運用が始まった。新製品は、道路交通標識データと対象車の位置や速度から道路交通法違反の有無を調べるというユニークなサービスに用いる。来年1月頃には、トンネル内や地下道での違反を把握できる屋内航法測位技術や、災害時の車両位置検索が可能な防災対策機能を追加する予定だ。

同社は、2014年からドライブレコーダーの映像を活用した交通事故の鑑定事業を行っている。16年には車載GPSによる位置や速度のデータと独自の道路交通標識データを突き合わせ、道交法違反の93%を占める速度超過や一時不停止、踏切不停止、右左折禁止、一方通行進入の5項目をチェックできる「道路交通法違反自動分析サービス」を開発した。
今回、車載器側をみちびきに対応させたことで、車両の測位精度が約10メートルから1メートル以内にまで高まった。また、駐停車禁止違反や携帯電話保持違反も新たにわかるようにした。携帯電話保持違反はスマートフォンを用い、GPSによる位置情報と操作・通話情報などを把握し、移動中に通話や操作をしているかどうか判別する仕組みだ。

サービスの利用企業は運送事業者や営業車を多く抱える企業など。運送事業者の車両は法令などでタコグラフ(運行記録計)やドライブレコーダーがすでに付いていることが多い。こうした車載器と同社のシステムを組み合わせることで、より効果的な交通教育が行えるという。同社では利用企業に診断レポートなどを提供するほか、ドライブレコーダーの事故映像を活用した危険予知トレーニングメニューの作成も行う。
ドライブレコーダーの加速度センサーを使い、急ハンドルや急ブレーキなどを検知するサービスは他にも実用化例がある。同社映像解析部の保田亜希部長は「事故鑑定を行う中で、事故を避けるためにはやむを得ない急ブレーキも必要だと考えている。事故を防ぐには道交法の順守意識を徹底させる必要がある」とサービスの意義を語った。測位技術の進歩や交通関連データベースの充実に伴い、サービスの幅も広がっていきそうだ。

〈用語〉 《みちびき》米GPS(全地球測位システム)は地球上に約30基の衛星を周回させ、最低でも3基の衛星と受信器までの距離を計算し、位置を割り出す仕組みだが、4基以上の衛星が捕捉しにくい山中やビル影などでは測位精度が落ちたり、測位ができなくなったりする。日本の準天頂衛星「みちびき」は、日本の真上にとどまり、GPSを補完することで測位精度を上げる役割を持つ。ただ、衛星1基が実際に真上にいられるのは1日8時間程度で、24時間運用には4基いる。政府は1号機を2010年、2~4号機を17年に打ち上げ、11月1日から本格運用に入った。23年にはGPSなしでも測位できる7基体制にする計画だ。GPSの精度誤差は約10メートル。みちびきを使うと1メートル程度になり、さらに国内に整備した「電子基準点」の位置情報を併用すれば誤差は数センチメートル以内になる。

日刊自動車新聞11月2日掲載

開催日 2018年12月3日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

ジェネクスト㈱

対象者 一般,自動車業界
リンクサイト

ジェネクストホームページ

http://www.genext.co.jp/topics/98-category03/421-gps-1m-gps.html