2018年11月4日
自動車業界、残価クレジットや個人リース 複雑な約款どう周知
消費者意識が「所有」から「利用」へ変化する中、ローンやリースなどを活用して車を売り込むケースが目立ってきた。ライフスタイルに合わせてクルマを賢く利用する手法として普及が進む一方で、複雑な約款を周知しきれず、消費者トラブルが増えるおそれがある。
高齢者の増加に加え、2024年4月からは成人年齢の引き下げに伴い、自動車ローンなどが18歳から親権者の同意なしで組めるようになる。トラブルの防止に向け、自動車業界の対応も問われそうだ。
新車ディーラーによる「買い方提案」が多様化している。特に利用が増えているのが残価設定型ローンだ。3年ないし5年後の下取り額を最終回支払分として据え置くことで月々の支払額を抑えるもので、満期時に新車への代替提案がしやすく、顧客の囲い込みにもつながると多くの新車ディーラーが積極的に提案している。
カーリースは法人向けのイメージが強いが、個人向けも新車ディーラーをはじめ、新車販売チェーン、車販を行うガソリンスタンド(給油所)で提案が広がってきた。多様化する消費者ニーズに合わせ、月々の支払額を抑えた高残価型の短期リースや、年金受給者向けの隔月支払ローンを商品化する新車販売チェーンもある。
こうした商品は月々の支払額低減や代替のメリットがある一方、利用者はリスクも負う。残価設定型ローンや個人リースには残価を保証する「クローズエンド契約」と、中古車市場の変動リスクを顧客が負う「オープンエンド契約」がある。距離制限超過や外装に傷をつけた場合などにも追加料金が発生するほか、リースは途中解約が不可能だったり、解約金が必要だったりする。いずれもユーザーが契約時に理解していないとトラブルに発展しかねない。
新車ディーラーの多くは契約時の説明を徹底しているが、個人リースを始めたばかりの車販店や給油所などは広告で利点だけを強調したり、契約時の説明を徹底していなかったりする事例も指摘されている。
クルマの買い方が多様化する中、業界全体で消費者を保護するための取り組みを進めていく必要がありそうだ。
日刊自動車新聞10月31日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | 日刊自動車新聞社まとめ |
対象者 | 一般,自動車業界 |