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2018年10月30日

大阪自動車青年会議所、メカ人材確保へルート開拓

少子高齢化や若者の車離れを背景にメカニックの人材不足は深刻化の一途をたどっている。新車ディーラーや整備専業工場を問わず、経営者は頭を悩ます。この状況の中、自動車整備業の若手経営者らで組織する大阪自動車青年会議所(大自青、中原智会長)は自動車整備専門学校や生徒への地道なアプローチを続け、新たなメカニック人材確保のルートを開拓しつつある。

大自青は2016年から大阪自動車整備専門学校(岡崎顯誠校長)に対して専業工場のPR活動を行っている。会員事業者が学校を訪問し、生徒に専業工場と新車ディーラーの違いや仕事内容などを説明するものだ。会員工場も紹介し、希望者には工場見学も実施している。

これらの活動が実を結び、実際に会員工場に入社する事例が表れ始めた。16年の学校訪問を通じて今春、生徒1人が会員工場に入社した。来春には会員2社が1人ずつ採用する予定だ。
学校訪問を通じて専業工場に興味を持ち、整備の現場に足を運んだことが生徒の意識を変えた。来春に1人採用予定のオカダ自動車工業(大阪市平野区)の池田卓史社長は「(採用する生徒にとって)会社見学の際に現役のメカニックと1時間近く話したことが当社を志望する大きな要因になった」と分析する。
最前線で働くメカニックと話せる機会は少ない。見学した生徒にとっては仕事の魅力ややりがいを実感できる貴重な機会になった。池田社長は「多様な車種を修理できるという専業工場のメリットも心に響いたようだ」と付け加える。

大自青の中原会長が社長を務めるナカハラサトシ(松原市)も1人の採用を決めた。同社は二輪車のモータスポーツ振興に取り組んでおり、社内チームを作ってレースにも参戦する。工場見学を通じて会社独自の取り組みを深く伝えられたことが生徒の志望度を高めた。
専業工場は新車ディーラーと比較して人材確保が一層難しいのが現状だ。一方で、多様化する生徒のニーズを把握できれば、課題解決につながる可能性も広がる。中原会長も「ここ数年、多くの生徒と接したが、専業工場独自の魅力を伝えれば興味を示す子が多いことも分かってきた」と明かす。
大自青は今年も学校でのPR活動を予定している。中原会長が「専業工場は小さいが、魅力のある会社が多い」と自信を持つように、専業独自の良さを丁寧に伝えることで生徒の心をさらにつかむ方針だ。メカニックの人材確保を取り巻く環境は今後も厳しい見通しだが、大自青は会員工場の人材採用において新たな道を作っていく。

日刊自動車新聞10月26日掲載

カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
主催者

大阪自動車青年会議所

開催地 自動車整備専門学校など
対象者 中高生,自動車業界