会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2018年10月29日

中小製造業のスマート工場化加速、設備メーカーは“扱いやすさ”も売り

9月の日銀短観によると、雇用人員の「過剰」から「不足」を差し引いた値は大企業がマイナス18ポイント、中小企業はマイナス32ポイントと人手不足感が続く。労働者人口の低下に伴い今後も人材確保が難しくなる中、中小の自動車部品メーカーをはじめとする製造業では「誰でも扱える設備」を導入するなど、スマート工場化に向けた取り組みを加速する。こうした流れを受け、設備メーカーは「自動化」「省人化」に加えて、取り扱いやすい機械を相次ぎ市場投入している。

アマダは工場の作業効率の改善につながるシステム「Vファクトリー」を開発した。これまでアマダが販売してきた板金加工機械が納入先でどのような稼働状況になっているかシステムを通じて「見える化」し、さらに電力やガスの使用量といったエネルギーコスト、受注状況とも照らし合わせて、効率良い工場運営につながるよう提案する。また、拾い上げたデータはクラウドにあげ、アマダのサポートシステムが遠隔監視。例えば、機械から板金を取り出す際に引っかかった場合には、加工プログラムを変更し対処する。10月から運営を始め、すでに30台分を契約したという。今後は国内だけで500台分の契約を目指す。また、消耗品が切れそうな場合にはすぐに届けるなど、24時間止まらない工場運営をサポートする。

ファナックは、AI(人工知能)を使い高精度に軌道修正するロボットを市場投入。ロボットに作業工程を予めプログラミングしておいても、歯車のかみ合わせや部品寸法などにより作業位置がずれるケースが多くある。無線化速度システムという同社独自のAI学習を使い自ら修正していくことで、作業位置の正確な修正ができる。来月から発売を開始する。

立花エレテックは経験の少ない作業員でも無理なく仕事に取り掛かれるシステムを展開。「スマートグラスを活用したAR(拡張現実)作業支援システム」として、メガネのように装着したレンズにこれから作業する手順が映し出される。作業員はこれに従って実際に目の前の機械を動かすことで、初めての機械でも動かすことができる。また、スマートグラスにはカメラやマイクがついており、レンズを通して従業員の状況を遠隔でも把握できる一方、マイクを通じて指示を送ることも可能。突然、機械が止まった場合でもメンテナンスの作業員を派遣することなく遠隔で指示を出し、修理させることもできる。

工場システムの開発などを手がけるデータ・デザインはハンディ型の3Dスキャナーを市場投入。自動車などの形状をスキャニングすることで形状位置を点として読み込み、これらをつなげることで立体的なものとして把握できる。これまでのスキャニングはコードがついていたためデータを読み込む際にムラが出ていた。ハンディ型は形状になぞってスキャニングできるため、車体の下なども読み込める。読み込み後はそのままデータとして送れるため、CAD設計やマシニングセンター、3Dプリンターを使った工程にすぐに活かせる。すでに発売しており人気のため品薄状態にあるが、来月ごろをめどに購入しやすくなるとしている。「自動車メーカーが買い替える際の大規模受注を目指していきたい」(テクニカルユニット担当)と、さらなる販売拡大に意気込む。

日刊自動車新聞10月25日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社調査

対象者 自動車業界