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2018年10月27日

エネ庁 災害時、燃料供給強靭化の議論開始 情報級の仕組みづくりが重要

災害時の燃料供給の強靭化に向けた有識者会議(座長:平野正雄早稲田大学教授)が資源エネルギー庁(以下:エネ庁)に設置され、19日に会合を開いた。

首都圏直下地震が発生し、東京湾岸の製油所・油槽所が全停止した場合、陸上輸送に頼るしかなく、そのための連絡体制の在り方や道路復旧情報を共有できる仕組み作りなどが課題に挙げられた。

東日本大震災発生以降、主要油槽所への非常用発電機整備、入出荷設備の強化、国家備蓄(需要の約4か月分)、BCP策定などさまざまな対策を打ってきた。しかし、昨年の熊本地震、今年に入って2月の福井豪雪、7月の西日本豪雨、9月の北海道地震は、いづれの災害時にも出荷拠点の設備被害はなく、十分な在庫もあったものの、輸送路の一部崩壊や渋滞の発生で配送効率が低下・遅延が発生し、販売拠点は閉鎖・供給制限に追い込まれた。SSでは開業情報の把握・発信に時間を要し、供給不安により長蛇の列が発生した。

こうしたことから、エネ庁は初会合で、平時からの需要者の燃料備蓄推進を呼びかけること、交通網の寸断により供給能力の回復には一定の時間を要することにどう対応するか、被災地のSSの営業情報を把握すための災害時収集システム整備などを課題に挙げた。

有識者からは、東京湾岸の製油所・油槽所が全停止した場合、域外からの陸上輸送を円滑にするには、いかに走行速度を改善するかが課題になること、長大・水底トンネルの通行が許可されれば関越トンネルやアクアラインの通行が可能になり改善されることなどを挙げた。

さらに、石油製品の物流を確保することが何より重要として、タンクローリーやドライバー確保のための連絡体制、道路の復旧状況をリアルタイムで共有できる仕組みづくりを指摘する意見もあった。別の委員は、東の本大震災の経験から「数%~10数%の人が買いだめした時点で都市の物流は破綻する」とし、多くの人が買いだめしていない中で「買いだめをやめよう」と呼びかけは逆効果になること、燃料不足・物流の混乱を前提にして情報提供に徹することが重要だと指摘した。

運輸新聞10月23日掲載

開催日 2018年10月19日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

資源エネルギー庁

対象者 一般,自動車業界
リンクサイト

エネ庁ホームページ 災害から学び、強い「石油供給網」をつくる②~災害時にもスムーズに供給するために

http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/sekiyu_supplychain02.html