会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2018年9月25日

自工会会長「自動車関係諸税は8兆円」 負担の重さを強調

「国の租税収入は100兆円。このうち自動車関係諸税は8兆円を占める」―。日本自動車工業会の豊田章男会長は20日に開いた会見で、自動車ユーザーの負担の重さについてこう強調した。

自動車ユーザーには、取得・保有・走行の各段階で9種類、計8兆円以上の税金が課されており、それが複雑で過重だと、指摘され続けてきた。「とにかく負担は重い。消費税率の引き上げが迫る中、今年こそ抜本的な税制改革に取り組まねばならない」(豊田会長)という意識は、自工会などの業界団体ばかりでなく、経済産業省や国土交通省などの関係省庁、一部の国会議員にも強い。

かつて、消費税率が5%に上がった時には101万台の需要減が発生した。さらに8%に上がった時は75万台減少した。そして今回、2019年10月に予定される税率10%への引き上げによる影響を、自工会では30万台の需要減、2兆円の経済損失、9万人の雇用減と見通す。こうした影響を最小限にとどめるためにも、車体課税の抜本的な見直しは必要だと業界は主張する。
8月末、各省庁から財務省に対して「平成31年度税制改正要望」が提出された。国交省の要望では「平成29年度与党税制改正大綱等に沿って、簡素化、自動車ユーザーの負担の軽減、グリーン化等を図る観点から、見直しを行う」との文言を盛り込んだだけだったが、経産省の要望は経済・雇用面での波及効果を指摘しながら、自動車税の税率引き下げや重量税の「当分の間税率」の廃止など具体的な記述が目立つ。中でも自動車税に関しては「国際的に見て妥当な水準」(経産省)とする軽自動車税の税額をスタートラインとして、全体的に引き下げる案も例示した。

自由民主党の自動車議員連盟(額賀福志郎会長)も気勢をあげている。8月31日朝、党本部に自動車関係16団体から33人の幹部と経済産業省の幹部が集合、議連メンバーと朝食をともにしながら日本自動車会議所の内山田竹志会長(トヨタ自動車会長)らが車体課税の抜本的見直しを強く求めた。これを受けて額賀会長は「年末の税調に向け、今日から議論がスタートした。ユーザーの懸念や要望に関して共通の認識を持ち、国民に分かりやすい仕組みするため全力投球したい。会長として、きちんとの責任を果たす」との固い決意を示した。
豊田会長は19日の会見で「自動車と自動車産業が大きく変わろうとしている今、従来の延長線上で税制の議論をしていてはだめ」と語り、「地方税収の堅持vs自動車課税という対立軸にならないよう情報発信したい」と、戦略の一端ものぞかせた。これから年末に向けて、自動車関係諸税の見直しに向けた真剣で切羽詰まった議論が続くことになる。

日刊自動車新聞9月21日掲載

開催日 2018年9月20日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

日本自動車工業会(自工会)

開催地 くるまプラザ(東京都港区芝大門 日本自動車会館1階)
対象者 一般,自動車業界