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2018年9月18日

AGC、薄く、耐久性も5倍 燃料電池用新素材を開発

AGC(旧旭硝子)は、従来よりも薄く、耐久性も5倍に高めた燃料電池用電解質膜の新素材を開発したと発表した。燃料電池車への早期実用化を見据え、数年以内にプロセス開発やシステム検証を終了する予定だ。

従来の無補強電解質膜は、軽量化のために薄くすると水素の膜透過量が増えて発電効率が悪くなるといった弱点があった。今回開発したフッ素電解質ポリマーは厚さを5分の1にしても従来より乾湿サイクル耐久性を5倍以上に向上。さらに無機層状化合物を加えることで導電性を保ちつつ、水素透過量を減らすことにも成功した。薄くすることで燃料電池スタックのサイズが3割小さくなるほか、これまでと同じスペースで配列した場合には発電能力を高めることができる。さらに、加湿器も不要になるため簡易なシステム設計が可能となる。

内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」では、自動車の素材などに関わるさまざまなポリマー素材を産学官で開発中。AGCは弘前大学のほか日産自動車などと連携し「超薄膜化・強靭化(しなやかなタフポリマー)の実現」と銘打って、燃料電池電解質膜の開発を進めている。今回の発表はその一環となる。

連携による開発は今年12月で終了となるため、今後はこれまでの協力関係を生かしつつ、数年以内の実用化に向け取り組みを加速する。

日刊自動車新聞9月13日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

AGC㈱(旧旭硝子)

対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界