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2018年9月18日

自賠責への返済、来年度増額の公算大 麻生財務相が明言

2019年度予算で、一般会計から自動車安全特別会計への繰り戻し(返済)額が18年度の23億2千万円よりも増額となる公算が大きくなった。麻生太郎財務相が10日、着実な返済実施を求める自動車業界関係者らに面談した際に「引き続き、繰り戻しはやっていく。額も増やしていく」と明言した。未返済の残高は6159億円に達しているが、今後、来年度の予算案を議論していく中では、返済額をどこまで増やしていくかが焦点になる。

自動車安全特会(当時は自動車損害賠償責任保険特別会計)からは1994年度と95年度に、国家財政の悪化を理由に総額1兆1200億円が繰り入れられた。その半分以上が、未返済となっていたが、2018年度予算では15年ぶりに23億2千万円が返済された。自動車関係団体や交通事故被害者関連団体などでは、交通事故被害者を救済するための原資として活用できるように着実な返済を求めているほか、国土交通省でも8月末に同様の内容で財務省に対して予算の概算要求をした。

こうした中、日本大学危機管理学部の福田弥夫学部長を座長として、日本自動車連盟(JAF)の矢代隆義会長や自動車総連の髙倉明会長らで構成する「自動車損害賠償保障制度を考える会」のメンバーは10日、麻生財務相と石井啓一国交相に面会して、両大臣に返済実施に関する要望書を手渡した。

麻生財務相との面談は非公開だったが、同席した関係者によると、麻生財務相は「被害者の皆さんに不安を与えるのはどうかと思っている。財務省も返す気はあったので、18年度は石井大臣とも相談して形にした。引き続き、繰り戻しはやっていく。額も増やしていく。いきなり6千億は難しいが、きちんと対応していく」と述べたという。面談中、麻生財務相は「こっちが借りている立場。返すのは当たり前」と語ったという。ただ、具体的な額についての言及はなかった模様だ。

一方、石井国交相は、考える会のメンバーに「来年度も着実に繰り戻されるよう、財務省ともよく協議していきたい」と述べた。
こうした発言を受けて、福田座長は「両大臣とも、自賠責と被害者救済事業の重要性と、これを永続させていかねばならないことを十分に認識していると思う。あとは資金的手当て」とし、返済のスケジュールについて、「ステップを踏んで考えていただいていることは理解している」と述べた。返済額については「1回に何千億円もの返済はしょせん、無理な話だとは思うが、きちんとシステムを維持して返済していくことに対し、合理的な検討に入っているだろう」とコメントした。

日刊自動車新聞9月12日掲載

開催日 2018年9月11日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

自動車損害賠償保障制度を考える会

対象者 一般,自動車業界