会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2018年8月28日

自工会、共同で電池回収網 コバルトやリチウム再利用

日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)は、10月からリチウムイオン電池(LiB)の共同回収網を立ち上げる。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及をにらみ、効率的で安定した廃電池の回収網を構築して適正処理を目指す。コバルトやリチウムなどを再利用し、電池資源の争奪戦に備える将来的な狙いもある。

共同回収スキームには自工会各社のほか、輸入事業者(インポーター)やEVベンチャーなども参加できるようにする。自動車再資源化協力機構(自再協、宮下照雄代表理事)が解体事業者からの依頼を受けて運送事業者に回収を連絡。全国に7カ所ある電池リサイクル施設に運んで処理する。自再協は廃電池の流通情報や取り外し手数料なども管理する。まずは解体事業者から回収を始め、来春にはディーラーや整備工場からの回収依頼も受け付ける予定だ。

発火の危険性があるLiBは自動車リサイクル法で「事前回収物品」に指定されており、解体事業者は使用済み車から取り外す義務がある。現在はメーカーが個別に回収しているが、年間で1千個に満たない。ただ、EVやPHVの普及に伴い、25年頃からLiBを積んだ使用済み車が年間50万台ほど発生する見通し。業界としては、廃棄物処理法に基づく「広域認定」を受けた共同回収網で廃電池を効率的に集めて処理する。

将来的には回収した廃電池からリチウム、コバルトなどの電池資源を取り出し、再利用することも視野に入れる。中国を筆頭にEVやPHVの普及を目指す国が相次ぎ、コバルトの必要量は17年の1万トンから30年には140万トン、リチウムも1万トンから100万トン以上へ急増するとの予測があり、すでに資源争奪の様相も濃くなりつつある。EVやPHVから電池資源を回収・再利用すれば、電池資源の高騰や争奪の影響を緩和することにもつながる。

日刊自動車新聞8月24日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

日本自動車工業会(自工会)

対象者 自動車業界