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2018年8月28日

部品生産に参入する素材メーカー、1次サプライヤー目指す

素材メーカーが川下である自動車部品の生産に参入し、1次サプライヤーを目指す動きが加速している。

帝人は22日、ポルトガルの自動車向け複合材料成形メーカーであるイナパル・プラスティコ社を完全子会社化したと発表した。欧州における自動車向け複合成形材料事業拡大が目的。素材メーカーでは電気自動車(EV)の普及をはじめ市場構造の変化を商機ととらえ、海外サプライヤーの買収などによる部品生産体制の構築を本格化している。各社は、自動車関連で10年後に2~3倍の売上高を目指すなど、目標達成に向けてさらなる投資を継続し、足場を固めていく考えだ。

帝人グループは、17年1月に複合材料メーカーの米コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP)、18年8月(予定)に不織布メーカーの独ジーグラー社を買収し、1次サプライヤーとしての複合材料製部品の展開をグローバルで加速させている。

今回買収したイナパル社は、ポルトガルを拠点に、自動車メーカーやトラックメーカーに幅広くGF―SMC(グラスファイバーシートモールディングコンパウンド)製部品を提供している1次サプライヤーで、欧州の自動車メーカーに幅広く納品している。19年秋に帝人グループのCSPヨーロッパ社がGF―SMCの製造設備新設を予定しており北米、中国に続き、欧州でSMC製造・成形のサプライチェーンが実現することになる。
帝人はイナパル社買収を、自動車向け複合成形材料事業における欧州展開の第1弾と位置づけ、今後さらに欧州強化で企業合併・買収を加速させる方針だ。帝人グループで複合成形材料事業を担当する中石昭夫執行役員は「自動車メーカーとの直接開発・マーケティングにイナパル社と共同で取り組めることで、自動車メーカーに期待されるスピード感で、将来ニーズに合わせた新製品開発を行えるようになる」とし、自動車向けパーツの1次サプライヤーとしての複合成形材料事業展開への期待を述べた。

また、2017年10月に三菱ケミカルが炭素繊維強化プラスチック部材を使った自動車部品を手掛ける伊CPC社に資本参加すると発表。旭化成は18年7月、自動車内装材メーカーの米セージ・オートモーティブ・インテリアズの買収を発表し、自動車事業の大幅強化に舵を切った。
帝人は自動車向け複合材料製品事業の売上目標を30年までに現状比約倍増の2000億円、旭化成は25年度までに自動車事業の売上高を15年度比3倍の3千億円に引き上げる計画を打ち出した。各社は自動車に軸足を置き体制を強化し、持続的な成長を目指す。

日刊自動車新聞8月23日掲載

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