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2018年8月22日

学生フォーミュラ参加チームが試走会、本番までの課題見えた

自動車技術会(自技会、坂本秀行会長)は6~8日、9月に本大会を開催予定の「第16回全日本学生フォーミュラ大会」の事前試走会を小笠山総合運動公園(静岡県袋井市)で開催した。車両の作り込みやレギュレーションの確認機会を提供することを目的として、関東、中部、関西の3支部合同で開催し、45チームが参加した。

当日は、各校チームがブレーキ性能のテストや8の字コースのスキッドパッドでのタイム計測、性能や耐久性などを競うエンデュランス走行、直線コースの加速競争など、大会本番さながらのテスト走行を行った。

各チームは試走会で課題を洗い出し、約1カ月後に控える本大会に向けて追い込みをかけていく。エンジン始動に苦労するチームもあれば、早々にエンデュランス走行で結果を出すチームもあるなど、出場チームの技量の差はまちまちだ。
炎天下でのエンデュランス走行から戻ってきた日本工業大学の門前光佑リーダーは、「車検をスムーズに通過することができ、構造変更の必要がなくなった。昨年よりもマシンを25キログラム軽量化したことで、タイムを出しやすくなったのが収穫だ。ただ、ホイールを換えたら空気漏れを起こしてしまったのが問題。本大会まで残り1カ月だが、それまでに全てのトラブルを解決するべく準備し、本番では完走したい。昨年は17位だったので今年は1桁を目指したい」と抱負を語った。

試走会には、参加する学生チームをサポートすることを目的に、部品メーカーの技術者も会場に駆けつけている。ゼット・エフ・ジャパンとアネブルは共同でダンパー相談の受付ブースを出展した。アネブルの蘓武新吾AP部長は「ダンパーの減衰力をどうやって決めるのか、何から調整すればいいのかなど、初歩的な技術を理解できていない学生が少なくない。例えば『先輩から引き継いだダンパー』をその素性も分からずに使用しているケースもあり、テスターを使って手助けしている。学生フォーミュラで使用するダンパーは従来、原付バイクなどの代用品が多かったが、近年は専用ダンパーを使うケースが増えている」と語る。
ケーヒンの経営企画室の工藤健治技師は「エンジンを回せないチームは少なくない。ハード面は完成していてもセッティングに問題があり、調整することで無事走行させることができたケースもある。また、エンジンはかかるが、アクセルを戻すとエンジンが止まってしまうというような場合も、セッティング調整で直してあげたりしている。なぜエンジンが回るのかを理解していないケースもあるようだ。答えを教えずにアドバイスするのが肝心だ。参加チームの約半分は自力でエンジン始動できていない印象。ただ、年々出場チームはレベルアップしてきている」とし、学生サポートとともに、自社の開発部門の社員育成にも今回の機会を生かしているという。
これらの部品メーカーは、学生向けの座学講習会をたびたび開催するなど、CSR活動の一環としても学生フォーミュラへの参画を重視している。9月の本大会に向け、学生の試行錯誤が続く。

日刊自動車新聞8月18日掲載

開催日 2018年8月6日
開催終了日 2018年8月8日
カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
主催者

自動車技術会(自技会)

開催地 小笠山総合運動公園(静岡県掛川市、袋井市)
対象者 大学・専門学校,自動車業界