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2018年7月23日

〈西日本豪雨〉自動車業界に被害、サプライチェーン復旧に全力

広島県、岡山県に大雨特別警報が発令されてから2週間が経過した。部品サプライヤーの工場や周辺の道路網は、徐々に復旧してきたものの、記録的な豪雨は、自動車業界のサプライチェーンにも深く爪痕を残した。現地では今、豪雨で乱れたサプライチェーンを復活させる試みが進んでいる。

西日本全域を襲った豪雨は自動車業界に大きな被害をもたらした。特に、三菱自動車やマツダが生産拠点を構える中国地方は、部品メーカーが集積しており、一部のメーカーでは稼働中に死亡事故も発生。マツダの2工場と三菱自の水島工場ともに一時稼働を停止し、復旧後もマツダの本社工場は20日まで昼勤1直体制を続けていた。

14日には山陽道全線が開通し、道路網は徐々に回復しているものの、鉄道網については最大1年以上かかる見通しで、通常は電車で通勤している従業員も車を使用せざるをえず、大規模な渋滞が常態化している。また、断水が続いている地域もあり、職場環境が悪化している企業もある。

2週間が経過し、「広島工場は生産には全く問題はない所まで復旧した」(今仙電機製作所)、「納品などを停止していた東広島市の倉庫も現在は再開し特に問題はない」(ニフコ)と着実に復旧が進む。この一方で、「真備町からの従業員約50人のうち、数人はまだ出勤できない状況」(新興工業)、「35人がまだ出勤できていない。間接部門の従業員を応援で派遣して対応している」(曙ブレーキ山陽製造)と社員の通勤で後遺症が残る。また、ボディー部品などを手がけるある岡山県のメーカーも「真備町からの従業員約40人のうち数人がいまだ出勤していない」と話す。

これらの生産拠点は設備面での損害が少なかったため、事業は再開できているが、いまだに事業を再開できていない企業もある。岡山県総社市の自動車向け熱間鍛造部品を手がける川上鉄工所は、近隣のアルミ工場が爆発した影響で壁や屋根などが全て吹き飛んだ。浸水の被害もあり、生産設備も全く使用できない状況で、現在は建屋の解体を進めている。

こうした中、仕入先の復旧を支援する企業も目立ち始めた。トヨタ系のあるサプライヤーは、川上鉄工所の復旧に毎日40~50人のボランティアを派遣。ダイキョーニシカワは、被害が大きかった仕入先数社に購買部門の従業員を派遣し、土砂のかき出しなどを手伝っている。また、クボタは断水している地域のサプライヤーに水を供給しており、ユーシンの広島工場では合計15トンもの水の供給を受けたという。各社、サプライチェーンの復旧に向けて支援活動を続ける考えだ。

日刊自動車新聞7月23日掲載

カテゴリー 社会貢献
主催者

日刊自動車新聞社調査

開催地 広島県、岡山県
対象者 自動車業界