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2018年7月25日

国交省、緊急自動ブレーキ評価制度 認定要件の適合“○×”で公表

国土交通省が今年度から始めた緊急自動ブレーキの性能評価・公表制度の内容と運用方法が明らかになった。

対象は自動車メーカーから申請があった車種のみで、国交省では今年度内に結果を公表することを目指している。結果は、認定要件に適合するか否かの“○×方式”で公表する。国交省では非適合のモデルについて、カタログに「非適合」と記載することや販売時に適切な説明をすることを日本自動車工業会を通じて各メーカーに求める考えだ。

国交省は、安全運転サポート車の急速な普及を図ることを狙いに、今年3月に同制度を創設した。自動ブレーキが一定の性能を持っているかどうかを国が確認して“お墨付き”を与えるもので、制度の仕組みは部位や部品ごとに保安基準への適合性を確認する「装置別認証制度」に近い。

認定の要件は(1)静止している前方車両に対して時速50キロメートルで接近した際に衝突しないか衝突時の時速が20キロメートル以下になること(2)時速20キロメートルで走行する前方車両に対して時速50キロメートルで接近した際に衝突しないこと(3)これらの状態において、自動ブレーキが作動するより0・8秒以上前までに、衝突回避のための操作を運転者に促す警報が作動すること―の3点。このため、初期の自動ブレーキに多い作動速度時速30キロメートル以下のレーザーレーダー使用タイプは非適合になる。

これらの評価試験は、埼玉県熊谷市にある交通安全環境研究所の自動車試験場で行うほか、各自動車メーカーに国交省の担当者などが出向いて行う。同じシステムを搭載したモデルでは、一部のデータを共通して活用するケースもある。
試験に使用する先行車を模したターゲットはオランダ製。1台あたり数百万円から1千万円近くと高価なもので同研究所では2台を購入した。このターゲットは国際基準の確認にも用いられるもので、保有している自動車メーカーも多い。出張試験をする際には、事前に同研究所などが設備の適合性を確認する。国交省では「命を守る装置なので、試験は厳格に実施する」としている。結果は「新車の販売に影響を及ぼす可能性があるため」(国交省)、単年度中の試験分をまとめて1回で公表する。また、同様の理由で非適合になりそうなモデルに関してはメーカーが申請しない可能性が高く、モデルチェンジや自動ブレーキの仕様変更のタイミングで申請することになりそうだ。

日刊自動車新聞7月21日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界