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2018年7月5日

超小型モビリティ普及へ 新たな安全基準案、東京五輪までに市場に

国土交通省は、2020年までに2人乗りの超小型モビリティをメーカーが開発・販売できるようにする方針だ。

衝突安全などの基準案を年末までに作り、道路運送車両法に基づく保安基準を改正。新基準を満たした車両の公道走行を認める。2012年に構想が浮上してから8年越しで超小型モビリティが本格的に走り出すことになる。

国交省の車両安全対策検討会にワーキンググループ(WG)を新設し、安全基準作りに着手する。現在は一定の条件を付けて公道走行を認める「基準緩和制度」を適用し、軽自動車として走らせているが、国の認定が必要で申請者を企業や地方公共団体に限っている。また、指定地域以外は走れない。衝突基準がない原付1種(四輪車)と基準がある軽自動車の中間的な存在で、安全性が必ずしも確保されていないからだ。

国交省のWGは、車体寸法や用途、最高速度(時速60キロメートル程度)という超小型モビリティの特徴を踏まえ、安全基準作りを進める。車幅が狭いため側面衝突基準などを緩和する一方、狭い道に入り込むことを想定し、歩行者が衝突しても被害を軽くする構造とすることなどを義務付ける考えだ。年末までに基準案を作り、パブリックコメントなどを募った後、保安基準の改正作業に入る。合わせて充電環境や駐車設備、任意保険などの関連制度も整え、20年の東京オリンピック・パラリンピックまでにメーカーが販売できるようにする考えだ。

超小型モビリティは国交省の認定制度や補助金により、これまでに約40地域で導入された。島嶼(とうしょ)での利用や観光回遊用途、都市部でのワンウェイ(乗り捨て)型シェアリング(共同所有)などでニーズが見込めそうなこともわかったが、個人が購入できず、走行範囲も限られるために2人乗り型の累計生産は約300台にとどまる。これからまとまる安全基準に合致すれば自由に公道を走れるため、省スペースで手軽に移動できる手段として新市場が形成される可能性もある。

超小型モビリティ=1~2人乗りで価格・維持費が手頃という新たなカテゴリーの車両。もともと高齢人口の増加とモビリティー(移動性)の両立に危機意識を持った自治体の首長らが会議体を作り、車両のデザインや性能要件を詰めるなどしてきた。国交省の認定制度は(1)サイズが軽自動車の規格内(2)定員2人以下(3)定格出力8キロワット以下(内燃機関の場合は125cc以下)(4)高速道路を走らず、自治体などが定めた場所で走る―などが条件だ。電動化技術の進歩で多彩な車両の登場が期待される半面、混合交通下で使うための制度作りや車両の低価格化などが課題だ。

日刊自動車新聞6月29日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界