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2018年6月28日

近畿の中小ものづくり企業、若手の人材確保へ工夫 職業能力開発大と連携強化

近畿の中小ものづくり企業が、若者を中心とする人材確保に工夫を凝らしている。職業能力開発大学校との連携を強化して、新入社員の確保に動いたり、社員のライフプランを立てやすくするための評価制度を見直す動きもある。少子化により、自動車関連中小企業の製造現場では人手不足が深刻化している。大卒者や高卒者がなかなか集まらないのが現状で、技術や事業を継承するために各社とも、採用活動ではあらゆる方面へのアプローチを図っている。加えて従業員の定着への取り組みも強化している。

 

自動車や建築物に使用するナットを製造・販売する大阪フォーミング(奥野芳昭社長、大阪府岸和田市)は、中途採用が多い状況だ。最近は近隣の近畿職業能力開発大学校へのアプローチに乗り出し、同校で開催する就活セミナーなどに積極的に参加している。「昨年は1人を技術職として採用した」(奥野社長)とし、徐々に効果が出始めているという。

若手人材の定着に注力する企業もある。カーナビ用のベゼルなどを製造・販売する四方工業(田中晴通社長、大阪市阿倍野区)は、生産拠点をすべて中国に持つ。工場内にスポーツなどのレクリエーションができるスペースを用意して福利厚生を充実し、現地従業員の定着を図る。

自動車部品の金型を手がける枚岡合金工具(古芝義福社長、大阪市生野区)では、社員がライフプランを描きやすくすることを狙いとした新たな評価制度を導入した。20項目の評価基準に1~5ポイントで点数を付ける。等級は9段階に分け、1~3等級が一般職、4~6等級が中堅職、7~9等級を管理職とする。ポイントの合計で等級が上がる仕組み。評価は年に4回実施する。複数の部署責任者が評価した後、本人にフィードバックする。「次の目標も明確に立てることができ、社員も成長できる」(古芝社長)とし、仕事のやりがいにもつなげる。

中小企業にはその企業にしかできない長年培ってきた技術がある。人手不足の対応で設備の自動化などが進む一方で人間にしかできない技術があるのも事実だ。ものづくりの技術やその企業が持つ精神を絶やさないためにも各社は人材確保に向けた独自の取り組みで魅力を訴求している。

日刊自動車新聞6月22日掲載

カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
主催者

日刊自動車新聞社調べ

対象者 自動車業界