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2018年6月13日

EDRの修理責任が明確に 整備業界に影響も

運転状況を記録する「EDR(イベント・データ・レコーダー)」が整備事業に少なからず影響を与える可能性が浮上している。EDRデータの解析によって整備や修理の責任が明らかになるからだ。仮に先進安全技術のエーミング(機能調整)作業を怠ったり、誤ったことが原因で事故が起きた場合、整備事業者が責任を問われる事態も想定される。損保を含め業界の対応が問われそうだ。

EDRデータを読み出して解析する「CDR(クラッシュデータ・リトリーバル)」を扱うボッシュのクラウス・メーダー社長は6日、「EDRは事故発生時の状態を記録するもの。フライトレコーダーのような存在」と語り、その重要性を強調した。
EDRはエアバッグの作動信号などをもとに衝突前後の車速や操舵角、衝突規模、アクセルやブレーキ開度など様々な情報を記録する装置。国は自動運転車の普及を見据え、2020年までに装着義務化の検討を進める方針をすでに打ち出している。

業界では「EDRが浸透するほど整備事業者の修理責任が明確になる」(損保関連会社幹部)との声が広がりつつある。整備事業者だけでなく、損保会社の責任が問われる恐れもゼロではない。先進安全技術に対応できない整備工場に事故車を入庫誘導したとなれば「誘導責任が発生するだろう。エーミング作業は必須だし、作業結果も保存させる必要がある」(同)。こうしたリスクを避けようと、指定工場制度の基準を見直す損保が相次ぐ可能性もある。
ボッシュによると、大手損保や科学警察研究所、警視庁などEDR、CDRを活用する動きは官民を問わず広がっている。今はまだEDRの義務付け対象車や賠償のあり方などが正式に決まったわけではないが、今後の動向を注視する必要がありそうだ。

日刊自動車新聞6月8日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社調べ

対象者 自動車業界