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自動車産業インフォメーション

2018年4月9日

経産省、モデルベース開発強化 産学の協調領域拡大

経済産業省は、自動車メーカーやサプライヤー、大学研究所の連携によるモデルベース開発(MBD)を強化する。これまでのガソリン車用部品に加え、電気自動車(EV)や自動運転技術でも制御モデルでMBDの対象とする考えだ。開発・生産の効率化が求められるなか、国内の技術力や知見をMBDで束ね、国際競争力の維持につなげる。

MBDは、設計データをもとにしたシミュレーションを駆使して自動車を開発する手法。1990年代から自動車メーカーで導入が進んだが、系列ごとのデータ互換性に乏しいため、二次、三次サプライヤーとのすり合わせや、大学など研究機関の開発成果が共有されない課題があった。一方で、電子制御や自動運転技術の普及でソフトウエアの開発工数が急増したり、蓄電池や水素など複数のパワートレーンを開発する必要に迫られており、経産省は試作や実機テストを省略できる系列横断的なMBDを広めることにした。

自動車メーカー4社や電装系、自動変速機などのサプライヤー6社などで構成する研究会を立ち上げ、昨年3月には手引き書となる「SURIAWASE2・0」を公表。今後は、この手引き書にEVのパワートレーンなどを盛り込む。素材や電池、自動車部品など国内産業の技術力を集積させ、EVの高性能化や低価格化を急ぐ。また、燃費向上技術や振動・騒音などの領域についてもMBDの対象としていく。さらに研究会では、自動運転などの制御モデルについても議論を進めていく。対象範囲の拡大と合わせ、2020年までにMBDが活用されやすい仕組みも築く方針だ。
経産省は、20年度までにMBD関連予算として10億円を確保したい考え。産学の開発主体などに補助金を出し、性能評価モデルの開発を進めるほか、同省が認定する教育訓練講座にも自動車MBDのカリキュラムを設け、MBDの概要やモデル作成、数値解析技術などを中小サプライヤーのエンジニアに指南していく。こうした取り組みを通じ、産学連携モデルの協調領域を広げる考えだ。

日刊自動車新聞4月6日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

経済産業省

対象者 自動車業界