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2024年5月08日

中部のサプライヤー HV投資を加速、相次ぎ工場新設

中部の自動車部品メーカーが設備投資を増やしている。日本ガイシは、電動車のインバーターなどに用いるパワー半導体モジュール向け絶縁放熱回路基板の生産能力を日本とマレーシアで増やす。東海理化はアウターミラーや電気信号式シフトレバー「シフトバイワイヤ」などの工場を秋田県に新設し、2025年1月から稼働させる。太平洋工業も電動車向けバルブの新工場を25年3月に岐阜県内に立ち上げる。世界的にハイブリッド車(HV)人気が高まる中、トヨタ自動車をはじめとする電動車の部品需要に応えていく。

日本ガイシは今期、前期より約4割多い680億円を設備投資に充てる。日本とマレーシアの製造設備に約50億円を投じ、26年度までに絶縁放熱回路基板の生産能力を約2.5倍に増やす。一方、エンジン用触媒担体などの既存事業ではコストを切り詰め、安定した収益を稼ぐ考えだ。小林茂社長は「DX(デジタルトランスフォーメーション)を使った各工程の見える化が日本で進んできた。海外にも展開し、効果を刈り取っていく」と語った。同社は約150億円を投じて名古屋市瑞穂区の本社地区を新製品開発拠点として再編し、共創施設とカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)関連製品の開発エリアを新設することも公表済みだ。

東海理化は今期、国内やインド、メキシコなどを中心に過去最高となる390億円を投じる。篭橋榮治収益改革本部長は「通常は200億~250億円レベルなので、今期はかなり高水準だ」と説明する。北米では、電動化で需要減少を見込む機械式スイッチの工場を集約する一方、強みとするシフトバイワイヤの生産能力をメキシコで増強し、〝選択と集中〟により収益の向上を目指す。

太平洋工業は今期、300億円の設備投資を見込む。昨年、岐阜県大垣市に新プレス工場を稼働させたのに続き、25年には北大垣工場(同神戸町)の敷地内に新工場を建設し、電動車の熱マネジメントシステム向け電子膨張弁を生産する。小川哲史社長は「より効率的に生産するための投資になる」と語った。

世界的にEV販売が踊り場を迎える中、燃料高を背景にHV人気が広がっている。特に燃費改善効果の大きいストロングHVは日本勢が得意とするところ。各社はアジア市場の変調といったリスクに備えつつ〝攻めの投資〟を仕掛けていく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月7日掲載