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自動車産業インフォメーション

2024年4月26日

架装メーカー 労働環境改善と輸送効率化へ開発競う、「2024年問題」対応

架装メーカーが、ドライバーの労働環境改善と輸送の効率化に向けて、新製品の開発・提案を活発化している。各社は、ドライバー労働時間の上限規制による輸送力不足が懸念される「2024年問題」の解決支援を目指し、さまざまなアイデアを具体的な製品で示している。働きやすい環境づくりは、人材定着にもつながるというメリットも訴求しながら、商機の獲得を競っている。

車両用荷物昇降装置などを手がけるナカオ工業(中尾正廣代表、和歌山県広川町)は、荷台床面がベルトコンベアのように動く「オートフロア」を商品化した。荷台の手前に置いた荷物をリモコン操作で自動的に奥側の任意の位置に移送する装置で、既存車にも荷台の改造なしで装着できる。荷台上の作業時間が減らせ、転倒事故の防止も図れるとする。

パブコ(アフマドヴ・ケナン社長、神奈川県海老名市)は、大型トラック用ルーフベッド「CABUTO(カブト)」を開発した。キャブ(運転台)のルーフ上にドライバーの睡眠・休憩用スペースをつくる製品だ。テーブルや照明、USB電源を備える。センターコンソールの送風口とルーフをつなぐダクトによって換気が可能だ。同社は「ドライバーの負担軽減を狙い需要が高まる」とみて、活発な提案を展開する。

キャリアカー最大手の浜名ワークス(田村元社長、浜松市浜北区)は、乗用車と農機や建機など、さまざまな車種を混載輸送する「多種積載」の普及を目指し、車両を開発した。運転手不足が特に深刻なキャリアカーでさまざまな車種を一度に運べる利点を広め、稼働率向上を支援する考えだ。

トレーラーによる中継輸送の拡大をにらんだ製品開発も進んでいる。日本トレクス(高崎文弘社長、愛知県豊川市)は、スワップ式とフルサイズのトレーラー荷台を組み合わせた〝冷凍ダブル連結トラック〟を提案する。スワップボディーを荷下ろし先で切り離し、フルトレーラーのみで次の配送先に向かうというように、荷役分離による業務効率化によって、ドライバーの負担を減らすことができると見ている。

ヒサマツホールディングス(久松孝治社長、大阪市阿倍野区)もトラックの貨物部分をシャシーから簡単に切り離せる「セパレートボデー」のラインアップを拡充し、長距離中継輸送の本格化に貢献することを目指す。

中継輸送や共同配送は、すでに一部の大手事業者では活用拡大の動きが出始めた。しかし、対応車両の用意や管理システム構築に費用がかかるため、中小・零細事業者では導入がなかなか進まない。架装各社にはコストダウンの工夫と同時に、運送事業者と連携を深め業界標準を構築するなど車両の汎用化を進めて、荷運びの環境改善を実現することが期待される。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月26日掲載