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2024年4月24日

若年ライダー事故防げ ハード・ソフト両輪で取り組みを

若いライダーの事故が増えている。2023年の二輪事故死者数は3年ぶりに増加した。特に20~24歳の死者は過去10年で最多となる63人(前年比26人増)だ。二輪人気が盛り上がる一方、市場の健全な成長のためには、ハード・ソフトの両輪で事故を防ぐ取り組みが求められる。

警察庁によると、23年は交通事故死者数が8年ぶりに増え、2678人(同68人増)となった。このうち自動二輪車乗車中の死者は391人(同48人増)。四輪の死者数が減った一方、二輪は増加に転じた。今年に入ってからも20~24歳の死者は増加傾向にあり、1~3月の3カ月間ですでに13件(前年同期比4件増)の死亡事故が起きた。

事故の一因には新規ライダーの増加がありそうだ。普通二輪免許の取得者数(新規・併記の合計)はコロナ禍以降に増加。23年は18万9613件とやや減少したが、それでも19年と比べると15%以上、多い。軽二輪クラスを中心とした積極的な商品投入やコロナ禍で若年層や女性のライダーが増加した。

二輪メーカーも手をこまねいているわけではない。ホンダ、スズキ、ヤマハ発動機、カワサキモータースの4社はそれぞれ安全啓発活動に取り組む。例えば、ホンダは23年、「セーフティアドバイザー」という営業スタッフ向けの資格を新設し、顧客に安全な乗り方を指導している。初心者向けのスクール「ホンダゴーバイクレッスン」も始めた。

先進技術の搭載も着実に進む。ヤマハ発動機は昨年、センサーで車間距離などを検知し、自動でブレーキとサスペンションを調整する世界初の機能を大型二輪「トレーサー9GT+」に搭載した。

もっとも、四輪と比べ価格が安く、搭載スペースも限られる二輪に先進運転支援システム(ADAS)を一気に広めていくのは容易ではない。このため、日本自動車工業会(片山正則会長)二輪車委員会の三留崇史・二輪車法規戦略部会長は「右直事故を防ぐため、四輪車が二輪車に検知しやすくする開発を検討している」という。

自工会はまた、胸部プロテクターの着用率向上にも取り組んでいる。胸部プロテクターの着用率は9・3%とヘルメット着用率と比べて圧倒的に低い。しかし、損傷部位別の死亡原因で胸部は頭部に次いで多く、プロテクターで事故死者を減らす余地がある。

気温が上がり、新生活を始める春はライダーが増える季節でもある。国や団体、メーカー、販売店など、二輪関係者による粘り強い取り組みが今後も求められる。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞4月20日掲載