国土交通省は、2022年度分のリコール(回収・無償修理)届け出内容の分析結果をまとめた。届け出件数は前年度比3・7%増の383件、対象台数は同9・2%増の464万9433台だった。いずれも19年度以来、3年ぶりに増加に転じた。届け出件数は過去10年間で国産車が最少、輸入車が最多だった。

届け出件数は過去10年間で上から4番目に多かったが、直近5年間では21年度に続いて2番目に少なかった。内訳は、国産車が同14・8%増の166件で、輸入車が同24・7%増の217件。

対象台数は過去10年間で2番目に少なかった。国産車が同1・6%増の402万4610台で、輸入車が約2倍の62万4823台だった。国産車は16年度以降、おおむね減少傾向で、輸入車は過去10年間で4番目に多かった。

届け出1件当たりの平均対象台数は、過去10年間では21年度に続き2番目に少なかった。これは、大規模リコールがなかったことや、少数台数届け出など小規模リコールが占める割合が高いことを示す。

車種別の前年度比較では、届け出件数は「普通・小型乗用車」と「軽貨物車」が増加し、「普通・小型貨物車」と「二輪車」が減少した。対象台数は「軽乗用車」と「二輪車」が大きく減少し、「普通・小型乗用車」と「軽貨物車」が大きく増えた。

装置別の届け出件数で最も多かったのは「原動機」の67件で、次いで「電気装置」の59件、「制動装置」の46件と続いた。国産車は「電気装置」が、輸入車は「原動機」の件数がそれぞれ最も多かった。

不具合発生原因別の総届け出件数は401件で、前年度と比べて15件増えた。「製造」起因が減少したものの、「設計」起因が大きく増加した。項目別でみると、設計に区分されるもので最も件数が多かった項目は「設計自体」で、設計自体に該当する分類では「プログラムミス」が最多だった。18~20年度に大きな割合を占めた「評価基準の甘さ」は減少したものの、2番目に多かった。

生産開始日から不具合発生の初報日までの平均期間は約33カ月で、前年度より1・9カ月短くなった。届け出件数が最も多い期間区分は「0・5年以内」で、次いで「1年超え2年以内」だった。

この期間は、届け出されたリコールが生産後すぐに発生する「初期型」の不具合によるものか、生産後、長期間を経て発生する「劣化・耐久型」の不具合によるものかを示す指標だ。22年度については、国産車は劣化・耐久型の割合が減少し、輸入車は劣化・耐久型の割合が多くなった。

20年11月から可能となったOTA(オーバー・ジ・エアー)によるプログラム変更の改善措置は、輸入車で8件の届け出があった。今後も増加する見通しだが、部品の点検・交換などを伴うこともあることから、「プログラム変更がすべてOTAになることはない」と国交省はみている。