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2024年3月19日

道交法改正案が閣議決定 自転車の交通違反に反則金「青切符」導入

道路交通法の改正案がこのほど閣議決定された。自転車の交通違反に対して反則金を科す「青切符(交通反則通告制度)」の導入が主な柱だが、四輪車のドライバーに対しても、自転車を追い抜く際に「自転車との間隔に応じた安全な速度」で進行することを罰則付きで義務付ける新たな規定が盛り込まれた。さまざまなケースが想定されるため「間隔」や「安全な速度」は具体的に規定せず、警察庁が目安を定めて公表する見通し。四輪車ドライバー、自転車利用者とも、互いを思いやる気持ちが改めて求められる。

改正法の柱は「交通反則通告制度」の対象に自転車が追加されたことだ。「自転車活用推進法」を契機に国土交通省や警察庁が専用の通行帯などを整備した結果、健康ブームも追い風に自転車利用者が増えた。一方で自転車が関係する事故も増加傾向にあり、信号無視やスマートフォンを見ながらの運転など、悪質な違反も目立ってきた。

警察庁によると、車道での「自転車対自動車」の接触事故が多く発生している。両車が同一方向に進む際に起きた事故のうち、自転車の右側部分が追い越しをかけた自動車と接触する事故が半数以上を占める。自転車が転倒でもすれば重大事故につながりかねない。

このため改正案では、自転車が安全に車道を通行できるように「自動車側に自転車の安全を確保するための責任がある」と明確化し、新たな規定を整備する。自動車が自転車を追い越す際、両車の間で「十分な間隔」がない場合、自動車は間隔に応じた安全な速度で進行しなくてはならない。一方で、自転車側にも「できる限り道路の左側端に寄って進行しなければならない」と規定する。違反した場合、自動車は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、自転車は5万円以下の罰金を科すことを検討している。

ただ、「十分な間隔」や「安全な速度」の具体値は規定せず、目安を定めて公表する。一例として、愛媛県の「思いやり1・5㍍運動」がある。自転車を追い越す際に1・5㍍以上離れるか、この距離を確保できない場合は徐行することを呼び掛けている。

青切符の対象となる自転車利用者は16歳以上で、交通違反行為は約115種類ある。反則金は原付バイクと同等を想定する。このほかにも、自転車を走行中に携帯電話などを使用した「ながら運転」、酒気帯び運転を行った場合の罰則も新設する。反則金は、例えば信号無視は6千円、一時不停止は5千円「ながら運転」は1万2千円などの見通し。赤切符(刑事罰)は酒酔いや酒気帯び、あおり運転などの妨害運転など約20種類ある。

このほか、普通仮免許の取得可能年齢を現在の18歳から17歳6カ月に引き下げる。早生まれ(1~3月)の高校3年生が就職や進学までに普通免許を取得できるようにするのが狙いだ。また、ペダルが付いた原付バイク(モペット)について「エンジンやモーターを止めてペダルのみで走る場合も原付バイクの運転に該当する」と規定する。これまでも警察庁の通達で同じ扱いだったが、電動アシスト自転車と誤認して使う利用者も多いため、改めて法律に明記して適正な利用を促す。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月16日掲載