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2024年3月04日

レンタカー大手各社、業績好調 消費者活動受け需要伸びる

レンタカー大手各社の業績が好調だ。コロナ禍の影響で一時は業績が悪化したが2023年5月にコロナが感染症法上の「5類」に移り、消費者の行動が活発になったためだ。円安で外国からの旅行者(インバウンド)増加の影響も大きい。半導体不足で新車供給が滞り、中古車市場の高値が続いたことで、レンタカーの車両代替に伴う売却益も貢献したようだ。

レンタカーで最大手の「トヨタレンタリース」を運営するトヨタ自動車によると、23年度の10カ月間(23年4月~24年1月)の売上高は1581億円となっている。通期では3年連続の増収を見込んでいるという。インバウンドの増加や、料金改定などが要因となっている。

利用者が増えていることに対応するため、保有台数も増やしている。23年3月末は約12万6千台で、前年同期比で1割強増えた。その前年の保有台数の伸び率が約6%だったことと比べると、大幅に増やしていることが分かる。

業界2位のオリックス自動車(上谷内祐二社長、東京都港区)。親会社のオリックスの23年4~12月期決算の資料では「引き続きレンタカー事業が好調なほか、中古車市場も高値圏が継続しており、3年連続の最高益更新が視野にある」との説明だった。実際、レンタカーを含む自動車事業の累計利益は351億円で、前年同期比で7%増となった。保有台数は約7万3千台(23年9月末、カーシェア含む)。

24年2月出発のインバウンド予約件数(1月末時点)は、コロナ前の19年比で5割増と、引き続き増えている。国別では韓国、香港(中国)、シンガポールからが増えているようだ。また、出発直前(1時間前)まで予約可能としたサイトを増やすことで、ビジネスの需要を取り込むことができているという。車両の入れ替えも進めており、商品競争力も高まっているとみられる。

リース大手、東京センチュリー傘下のニッポンレンタカーサービス(藤原徳久社長、東京都千代田区)は、24年3月期で経常利益144億円の過去最高益を見込んでいる。23年3月期も最高益(84億円)だったが、そこから7割増となる。同社では「高効率運営推進による利益率の大幅改善に加え、車両売却益増加による最高益更新」と説明している。保有台数は約4万6千台(23年12月末)だ。

同社ではコロナ禍だった20年以降で約80店舗(全店舗の約13%)を廃止した一方、空港やターミナル駅といった基幹店への積極投資を続けたことが収益力の向上につながった。

レンタカー業界はコロナ禍で19年度の下期(10~3月)から利用者が激減した。20年度が底で、21年度の下期から持ち直してきた。この間、各社は店舗の見直しや業務効率化、スマートフォンを生かした手続きの簡略化などを進め、筋肉質な営業体質にしてきた。しかし、MaaS(サービスとしてのモビリティ)の機運が高まったことで、新規参入が増えているほか、カーシェアリングサービスも台頭している。競争が激しくなる中、持続的な成長に向けたレンタカー各社の次の一手に注目が集まっている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月2日掲載