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自動車産業インフォメーション

2024年2月28日

タイヤメーカー各社 レースやラリーでも電動化対応や脱炭素

タイヤ各社が、さまざまなモータースポーツの場でサステイナブル素材や電気自動車(EV)用タイヤの開発に挑んでいる。ブリヂストンは、世界最高峰のソーラーカーレースで次世代車向けのタイヤ設計基盤技術を試す。トーヨータイヤは、ダカールラリーを舞台にサステイナブル素材と性能の両立点を探る。開発サイクルを短期間でまわし、結果もすぐに出るモータースポーツは、今も昔も「走る実験室」として機能する。

ブリヂストンが今月発売した「レグノGR―XⅢ」は、新たなタイヤ設計基盤技術「エンライトン」を用いたプレミアムタイヤだ。新車用ではすでに適用実績を持つが、市販タイヤは初めて。同社の担当者は「EV化で市販用タイヤに求められる性能も変わる」と話す。

エンライトンは、環境負荷の低減と性能向上を両立させるタイヤ技術で、昨年10月には世界最高峰のソーラーカーレース「2023ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」にエンライトン適用タイヤを初投入した。低転がり抵抗、耐摩耗性、軽量化に特化したものだ。今後はフォーミュラE用にもエンライトンの適用を予定する。

ダカールラリーでタイヤ技術を磨くのはトーヨータイヤだ。寒冷な山岳地から灼熱の砂漠まで、過酷な環境下を高速で走り抜ける競技車両。構造を工夫し、浅溝化で剛性を高めて耐パンク性を向上させたほか、軽量化も図った。重量ベースで50%にサステイナブル素材を用いていることも特徴だ。コンセプトタイヤベースでは業界最高水準の90%も達成している。コストや安定供給の課題はあるが、20年代中の実用化に向け、ポリマーメーカーなどを協議を重ねている。

住友ゴム工業は、競技用と市販用で分かれているタイヤ開発に横串を通す役職を新設した。競技用タイヤは想定した距離だけ保てば良く、高いグリップ性能を発揮する代わり、耐摩耗性の考え方が市販向けとは異なる。1月の「オートサロン2024」で展示した競技用タイヤのプロトタイプは、日産自動車「GT―R」向け新車タイヤを改良したもの。開発段階から市販を想定し、高負荷時に減りやすい場所を特定するなどして耐摩耗性能を高めた。

横浜ゴムはEV専用タイヤ「アドバン・スポーツ・EV」をテスラのEV「モデル3」に装着してオートサロンで披露した。タイヤ内面にポリウレタンフォーム「サイレントフォーム」を貼り付けることで、ロードノイズを減らしたことが特徴だ。同社は昨年、全日本スーパーフォーミュラに、サステイナブル素材を33%用いたタイヤを供給した。今後もモータースポーツを舞台に電動化と脱炭素化の両技術を開発していく方針だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月24日掲載