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自動車産業インフォメーション

2024年2月27日

大型車メーカー系販売協会 会員の人材育成支援加速

大型車メーカー系の販売協会で、会員販売会社の人材育成を支援する動きが盛んになっている。各協会は各販社の従業員の成長を後押しするため、新たな研修の実施やマニュアルの作成に取り組んでいる。女性活用やサービスの効率化など、同様の悩みを抱える販社は少なくない。協会内で情報共有や意見交換できる強みも生かしながら、こうした課題を解決できる各社のスタッフの養成を支援していく考えだ。

いすゞ自動車販売店協会(辻良之会長)は、2023年度から女性従業員を対象とした新たなセミナーを始めた。業務品質向上などがテーマだが、女性が働きやすい環境を各社に根付かせていく効果も狙っている。24年度も継続するほか、上司となる男性社員にも受講を促す方針だ。辻※会長は「女性だけではなく、その上司も意識が変わらなければ、社内の環境変化に結び付かない」と、活動強化の背景を説明する。

UDトラックス販売協会(西山明会長)は23年秋に、部品担当者向けの「初級マニュアル」を作成した。販社で新たに部品担当者として配属になった際、業務の流れをまとめた資料が無いことが各社の共通の悩みとなっていた。このため、UDトラックスとともに、約2年をかけてマニュアルづくりに取り組み、部品の仕入れや納品など、一連の業務を理解できる資料に仕上げた。「現場からの反応は良好だ」(西山会長)と、会員販社の業務負担の軽減に手応えをみせる。

三菱ふそう自動車販売協会(平岡裕会長)は、サービス網の強化に向けてメーカーと販社の連携を深めている。その一環で、23年には各社のサービス担当の部長級の社員を集めた会合を実施した。整備士不足への対策や部品供給網の在り方について課題を共有し、改善に向けた具体策についても議論。今後も販社とメーカーが話し合う場を設けていくことで、「顧客に安心感を与えられるサービスネットワークの構築」(平岡会長)を目指す意向だ。

日野自動車販売店協会(川村保憲会長)は、経営トップの意識改革に目を向ける。24年度から新たに会員販社の社長を対象とした研修を開始する。最新の物流倉庫や中継輸送の現場を視察する計画だ。川村会長は「大型車ディーラーを取り巻く経営環境は日々変化している。今までの価値観は通用しない。経営者が学び、視点を高める必要がある」と説明する。

トラックやバスでも先進安全装備の充実が進み、電動化も始まった。整備士が不足する一方、要求される整備技術は年々高まっている。また、営業や事務でも、生産性の向上に迫られている。これらに対応していく従業員の成長を、販協が効果的に支援できれば、ブランド全体の成長にもつながる。いすゞ販協の辻会長は「課題や好事例を共有することが協会の役割。今後も先頭を切って進めていく」と力を込めている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月24日掲載