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2024年2月20日

政府 物流関連2法一部改正案を閣議決定、業界労働環境改善へ

政府は、物流関連2法の一部改正案をこのほど閣議決定した。荷主企業と物流事業者に対し、物流効率化の努力義務を課すほか、元請事業者に実運送事業者の名称などを記載した「実運送体制管理簿」の作成を義務づけるなどの〝規制的措置〟を盛り込んだ。物流業界の労働環境や処遇の改善を進め、人手不足の解消などにつなげる。今国会での成立を目指す。

「流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律」(流通業務総合効率化法)と「貨物自動車運送事業法」の一部を改正する。荷主企業と物流企業、トラック事業者間の取引、軽貨物運送事業者を対象に、規制を努力義務化したり、義務化したりして実効性を高める。

荷主企業と物流事業者に対する規制的措置は「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)を参考にした。荷主企業の定義に、荷物を出す「発荷主」だけではなく、荷物を受け取る「着荷主」も含めたことがポイントの一つだ。商慣行の見直しなども含め、物流産業の抜本的な対策には関係者が一丸となって取り組む必要があるからだ。

荷主企業と物流事業者に努力義務を課す、物流効率化に向けた取り組みに関する「判断基準」は国がつくる。この基準に基づき、指導や助言、調査・事業者名公表といった段階的な措置をとる。対象となる荷主企業は約3千社、トラック事業者は約400社、倉庫業者は約100社と国土交通省は見込んでいる。

これとは別に、一定規模以上の荷主企業と物流事業者を「特定事業者」とし、中長期計画の作成や定期報告を義務づける。取り組みの実施状況が不十分な場合は勧告・命令といった行政処分を出す。対象は約200社を見込み、荷主企業には「物流統括管理者」の選任も義務づける。

トラック事業者間の取引に対する規制は、多重下請け構造の是正につなげるのが狙いだ。運送契約を交わす際、提供する役務や対価などを記載した書面の交付などを義務づける。一定規模以上の元請事業者には、下請けに出す行為の適正化のため「管理規定の作成」や「責任者の選任」を義務づける。

個人事業主が大半を占める軽貨物運送事業者には、関係法令などの知識を持つ管理者の選任と講習の受講、国交省への事故報告を義務化する。電子商取引(EC)市場の拡大を背景に新規参入が増えた一方で、死亡・重傷事故件数はこの6年間で倍増した。このため、一般貨物自動車運送事業者と同様の運行管理体制を求める。

法案成立後の施行時期は項目によって異なる。軽貨物運送事業法は6カ月後、流通業務総合効率化法のうち物流効率化の取り組みに対する国の指導、調査などの実施と特定事業者の項目は2年後とし、それ以外は1年後の施行を予定している。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月17日掲載