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2024年2月15日

輸入EVで広がる手ごろなモデル 一般ユーザー取り込み重要に

輸入車市場で、手ごろな価格帯の電気自動車(EV)の選択肢が広がっている。2023年の輸入車販売台数に対するEV比率は初めて9%を超えたが、こうしたモデルが増えたことで拡販につながった可能性が高い。特に、中国・比亜迪(BYD)が2023年に発売した小型車「ドルフィン」は300万円台という戦略的な値付けにより、低価格路線で先行する。日本自動車輸入組合(JAIA、上野金太郎理事長)が開いた報道向けの試乗会でも、こうしたモデルに注目するメディアも多く、24年も安価なモデルが輸入EVの市場拡大を後押ししそうだ。

23年の輸入EVの販売台数は前年比59・6%増の2万2890台で、初めて2万台を超えた。国産車を含む市場全体のEV販売台数は約8万8千台だったため、いかに国内のEV市場で輸入車の存在感が増しているかが分かる。実際、JAIAの試乗会でも、EVの試乗車が前回の15車種17グレードから、21車種23グレードに増加。インポーター各社の力の入れ具合も示した格好だ。

今後の輸入EV市場を左右しそうなのが、手ごろなモデルだ。これまでのEV市場は、新たなトレンドなどに強い関心を持つ「アーリーアダプター」と呼ばれる層がけん引してきたといわれる。富裕層に多いため、高額な輸入EVの上級モデルと親和性が高かった。しかし、こうしたユーザーでEV需要が一巡したとの見方も出ている。こうした中で、24年もさらにEVの販売を伸ばすには、一般ユーザーを取り込むのが近道だ。

輸入車市場で割安を示すラインとなっている400万円前後のEVは、BYD車のほか、ヒョンデ車など中韓勢が占めているのが実情。対する欧州勢は500万円台からという品ぞろえとなっている。輸入EVを取り巻く環境に変化の兆しが出ている中、価格競争力の高い中韓勢に、欧州勢がどのように対抗していくのかも注目されそうだ。

また、JAIAの上野理事長は「EVを含めた電動車の認知向上に向けた活動は今後も必須」と指摘している。今後もEVを含む電動車について、一般ユーザーへの情報発信も強化するなど、市場拡大に力を入れていく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月10日掲載