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2024年2月14日

カーAV各社 後付け安全製品を相次ぎ投入、運送・配送事業者事故防止へ

カーAV(音響・映像)各社が後付けできる安全装置を相次ぎ発売している。フォルシアクラリオン・エレクトロニクスの子会社、クラリオンライフサイクルソリューションズ(田中遥社長、さいたま市中央区)は、歩行者や自転車との接触事故を防ぐ「D―BOX」を発売した。テクノホライゾンも人工知能(AI)で接触事故を防ぐカメラを開発中だ。JVCケンウッドはドライブレコーダーで安全運転を支援する。人手不足とともに高まる事故リスクを導入しやすい後付け製品で防ごうと各社は運送・配達事業者への提案に力を入れる。

クラリオンライフサイクルソリューションズのD―BOXは、車載カメラで培った光学や映像の技術を応用して製品化した。左折時に後方から通り抜ける歩行者などを検知するほか、後退時の障害物や移動体を検知して画面表示とブザーでドライバーへ警告する。中小の物流事業者を中心に引き合いがあるという。

同社を傘下に持つフォルヴィアグループは、仏フォルシアと独ヘラーの統合で誕生した。ヘラーは車載用ランプに強く、商用車向けにも荷役作業時の事故を防ぐ後付けのランプ製品を開発した。荷役事故で多い転落を防ぐため、荷台の端に光を照射して作業者に注意を促すものだ。クラリオンライフサイクルソリューションズが架装メーカーへ提案している。

テクノホライゾンの「車載用AIカメラボックス」は、AIが撮影された歩行者の骨格の動きから行動を予測し、衝突の危険性を判断する。開発品に車載カメラやドライブレコーダー、モニターを接続することで使用可能だ。普通車のほかトラック、バス、建機など、搭載車種を問わないことも特徴だ。

JVCケンウッドは、NECネクサソリューションズ(木下孝彦社長、東京都港区)の「2輪車安全教育支援サービス」に防塵・防水仕様の通信型ドライブレーダーを提供するほか、昨秋には日本ピザハット(中村昭一社長、横浜市西区)の神奈川県内の店舗を中心とするデリバリーバイクに通信型ドライブレコーダーを納入した。運行管理に使えるほか、道路交通法違反を検知するアルゴリズム(計算手順)により、ドライバーごとにいつ、どこでどのような違反をしたかをデータ化でき、安全運転教育にも生かせる。

2024年問題に代表されるように運転手不足が深刻化する物流やデリバリー業界。未経験の就業者が増えると事故のリスクも高まる。大手運輸事業者は先進運転支援システム(ADAS)を満載した新型車へ代替できるが、運送事業者の9割を占める中小・小規模(零細)企業や配達も手がける飲食店は買い替えもままらないのが実情だ。各社は事故防止や安全性向上につながる後付け製品を今後も売り込んでいく考えだ。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月10日掲載