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2024年2月01日

23年の国内二輪車市場「ゲンニ」販売好調 女性・若者向けラインアップ拡大

「ゲンニ」と呼ばれる第2原動機付自転車(排気量51~125cc)の国内販売が好調だ。日本自動車工業会(自工会、片山正則会長)がまとめた2023年の出荷台数は14万9655台(前年比47・2%増)となり、25年ぶりの高い水準となった。初めて二輪車に乗る女性や若者をターゲットに二輪各社がラインアップを拡大してきたことが奏功した。日髙祥博二輪車委員長(ヤマハ発動機社長)は今後の市場活性化に向けて「この流れを軽・小型二輪へのステップアップにつなげたい」と語った。

自工会によると、23年の二輪車の国内総販売は37万6720台(同4・0%増、原付は出荷台数、軽・小型二輪は販売台数)だった。コロナ禍をきっかけに二輪車市場が活気づいた21年と同等の水準を保った。1月中旬に自工会がが開いた記者説明会で日髙委員長は「〝二輪車バブル〟という側面があったかもしれないが、コロナが『5類』に移行した後もコロナ以前と比べて高い水準が維持できている」と説明した。

好調な市場をけん引するのがゲンニだ。手動変速機(MT)仕様のモデルでは、ホンダが「CBR125」や「クロスカブ110」「CT125」と豊富なラインアップを展開するほか、ヤマハ発も3車種を投入し、販売を伸ばした。スクーターではスズキが「バーグマンストリート125EX」を23年3月に発売。シェア首位のホンダ「PCX」をはじめとする既存車の売れ行きも堅調だ。かつては車検が不要な「ニーハン(250cc)」が若者向けモデルの位置づけだったが、規制対応などで価格が上がり、購入のハードルが高くなった。そのぶん、ゲンニが需要の受け皿になっている格好だ。

今後の課題は、こうした需要を軽二輪(126~250cc)や小型二輪(251cc以上)へいかに移行させるかだ。日髙委員長は「まず大事になるのは商品だ」と話す。ホンダ「CB400スーパーフォア」やヤマハ発「SR400」など人気車の生産が相次ぎ終了するなか、二輪4社が顧客に豊富な選択肢を提供し続けられるかがカギになる。

日髙委員長が「馬鹿にならない」というのがSNS(交流サイト)などを駆使したアプローチとなる。運転そのものより、アウトドアなどの趣味と二輪を組み合わせ、楽しむ様子をSNSで発信するために二輪車を買うユーザーもいる時代。自工会も、SNSで発信したくなるスポットの情報を提供し、より二輪車の楽しさを広げる考えだ。

国内市場の今後について、自工会は「40万台前後の市場規模を今後も安定的に維持させていきたい」という。ゲンイをきっかけにした女性や若者を中・大型車へとつなげていく好循環を作ることで二輪市場の活性化を目指す。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月27日掲載