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自動車産業インフォメーション

2024年1月26日

自動車メーカー 「認定中古車」付加価値向上へ、部用品を装着

自動車メーカーが、部用品を活用して認定中古車の付加価値向上を図る取り組みを広げている。日産自動車は奈良日産(田代雄亮社長、奈良県大和郡山市)と共同で、中古車に用品パッケージを設定して販売するサービスを22日に開始。ホンダも1月に、あらかじめ用品類を装着した中古車の販売を始めた。国内市場が縮小する中、部用品の装着拡大で単価アップにつなげる。同時に、新車価格の上昇を背景に、車を所有しにくくなっている若年層との接点を拡大する狙いだ。

日産と奈良日産が始めたのは、「キューブレトロリノベーション」というサービス。認定中古車の基準に適合するキューブに、消耗の激しい内装品やヘッドライトなどの外装品、同サービス専用のステッカーなどのカスタマイズ用品を6種類のプランに分けて提供するものだ。

料金は消耗品系をパックにした「リフレッシュパッケージ」が、工賃込みで7万4835円~39万1776円、意匠性を高める用品をパックにした「カスタムパッケージ」が10万6430円~75万764円(消費税込み)。まずは実証実験として20台限定で販売し、他の販売会社への展開を検討する。

中古車にカスタマイズ系のパーツを装着して単価を高める取り組みは、専業店が先行している。新車ディーラーの一部でも、独自施策として行っているところもある。日産ではメーカー施策として展開することでボリューム拡大を実現し、新たな専用パーツの開発も視野に入れる。自動車メーカーならではのデザイン力や信頼性を生かし、中古車の商品力を高めることでディーラーの収益拡大を後押しし、専業店との差別化につなげる。

一方、ホンダも1月から所定の用品を搭載した認定中古車を「いまコレ+」として提供し始めた。販売会社やモデル、車両状態によって異なるが、踏み間違い時加速抑制システムや新品のカーナビゲーションシステム、フロアカーペットなどを中古車に搭載して販売する。

中古車ビジネスで、自動車メーカーがこうした取り組みを始める背景にあるのは、新車価格の上昇だ。新車の価格は安全や環境面での規制対応により上昇を続けてきた。ここ最近では、原材料やエネルギー価格の高騰ものしかかる。ただ、所得水準はそれほど上がっておらず、新車を購入しにくいユーザーも少なくない。

そうした顧客の受け皿になっているのが中古車だ。日産が今回ベースとするキューブの認定中古車は、100万~120万円程度で流通している。用品パックを合わせても、同等の新車よりも購入しやすい価格で提供できる。グローバルアフターセールス商品開発&エンジニアリング事業本部の初鹿野久美本部長は、「中古車でも、まずは日産車に乗ってもらうことで新車を購入する際に日産を選んでもらうきっかけにしたい」とし、今回の取り組みを通じて将来の顧客形成を図る構えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月22日掲載