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2024年1月15日

東京オートサロン2024閉幕 カスタムにもEVの波

14日に閉幕したカスタムカーの祭典「東京オートサロン2024」では、電気自動車(EV)のカスタムを訴求するパーツの出展が目立った。とくに力が入れられたのはタイヤ、ホイール、サスペンションの足回りパーツだ。EVは駆動用電池の搭載で車重が重く、発進時の駆動トルクが高いなど従来の内燃機関搭載車とは異なる特性を持つ。その快適な乗り心地の実現では、足回りのチューニングが大きな鍵を握る。部品点数の少ないEVではカスタムの幅が狭まることが懸念されているが、足回りの重要性をじっくり訴求して新たな商機の創出を目指した。

操縦性とファッション性の向上に効果の高いホイールでは、発売予定の新製品の公開が相次いだ。市販ホイールのBBSジャパン(新田孝之社長、東京都港区)は、EV向けをはじめ新素材を用いた最新作を出展。合わせて、社内試験の結果を一部公表した。これによると、BMWのEV「iX3」に自社製品を装着したところ、純正品よりも大径サイズながら1本あたり約7㌔㌘軽量化できたという。新田社長は「(車両の重量増加に合わせて)剛性を確保しつつ軽量化を図り、走行性能の向上を実現している」と強調した。年内をめどに7~8種類を発売する予定だ。

マルカサービス(斯波眞澄社長、名古屋市港区)は、EV向けホイールブランド「MTW(マルカ・テイラード・ホイール)」に中国・比亜迪(BYD)車および日産「アリア」専用の新製品を追加する。いずれも今夏をめどに発売予定だ。リム幅を狭め軽量化したほか、インナーリムの厚みを工夫して静音性を高めるなど、EVの特性に合わせて設計を工夫した。同社は、2022年に米テスラ車向けホイールを発売した。動画配信サイトを活用した広報活動が奏功し「売り上げが好調」(同社)なため、ラインアップ拡充を決めたという。

阿部商会(阿部文保社長、東京都千代田区)は、EV用タイヤを訴求した。フィンランドのノキアンタイヤのEV用スタッドレスタイヤで、軽量・高剛性なホイールに装着し展示した。航続距離の延伸に効果的なコンパウンドの採用が特徴だ。今回の出展を通じて、「(季節に合わせた)交換需要が期待できる」(担当者)国内で、EV用タイヤの拡販につなげていく考えだ。

テインは、純正品と互換仕様のショックアブソーバー「エンデュラプロ」シリーズからテスラ「モデル3」向けの製品を披露した。走りや乗り心地など足回りの性能向上をアピールしながら、海外市場を中心に販売を強化している。

オートサロン会場では、アフターパーツ各社がカスタマイズの新たなターゲットとしてEVに熱い視線を送る様子が示された。ただ、EVシフトについて、ある出展企業の担当者は「本音を言えば、やはり(これまで開発に多数の努力を積み重ねてきた)内燃機関に残ってほしい」ともらす。さらにEVはまだ普及の入口の段階で、カスタマイズの潜在ニーズは内燃機関車の方が圧倒的に多いことは明らかだ。各社がどのような戦略でEVパーツの開発を広げていくのか、今後の動きが注目される。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月15日掲載