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2023年12月14日

冬物カー用品の売れ行き好調 布製チェーン、ガラス凍結対策品も人気

本格的に気温の低下がみられる中で、安全なドライブに役立つカー用品の需要が高まっている。冬季は降雪や路面の凍結により、スリップの危険が高まるほか、霜や氷が車体に張り付くケースも少なくない。この対策には、タイヤチェーンや解氷剤などを積み込んでおくことが重要だ。今冬は暖冬傾向と予測されているが、足元では寒さを感じる日も増えてきた。カー用品の小売店でも冬物商品の「売れ行きは好調」(オートバックス)という。店頭で万が一に備える必要性を訴えていけば、さらなる販売拡大にもつながりそうだ。

大型店のアピットオートバックス東雲(東京都江東区)では、店舗の入口付近に冬物用品の専用コーナーを設置している。さまざまな商品が並ぶ中、多くの来店客が足を止めているのが布製チェーンだ。オートバックスセブンによると、全国店舗で11月に「売り上げが前年同月比で約2・5倍に増加した」(同)という。従来の金属チェーンなどと異なり、布製はタイヤにかぶせるだけで簡単に装着することができる。走行時の振動や騒音も軽減しているほか、省スペースで車載しやすいのも利点だ。雪国に向かうドライバーだけではなく、首都圏でも時折発生する急な大雪に備える需要も高まっている。

早朝や深夜に起こりやすい窓ガラスの凍結も、冬場のトラブル報告が多い。凍結により視界が奪われるため、すぐに車を動かすことが困難になる。車両のデフロスターでは氷を解かすまでに時間がかかるため、ガラスに吹きかけるだけで使える解氷剤の需要も根強い。さまざまな製品がそろう中で、今季の売れ筋商品の一つが呉工業(呉美齡社長、東京都目黒区)の「アイス・オフ」だ。炭酸ガスを使用することで、強風時でも溶剤を吹き付けられる。再凍結を防止する成分も含めており、マイナス40度でも使えるという。解氷成分の充填量も96%と、従来製品よりも高めたことで少しでも長く利用できることも人気のポイントのようだ。

窓ガラスの凍結対策では、クレトム(白神博代表、堺市堺区)が「フロントマスクドアミラーカバー付き」を販売している。ガラス面を覆うことで、雪や霜の付着を防ぐ商品だ。ドアミラーもカバーすることで、寒い朝でも手間をかけずに出発することができる。

冬物商品の定番である冬用ワイパーも需要も安定している。ワイパーの稼働部をゴムで覆うことで凍結を防ぐ構造となっており、降雪時の前方視界の確保に欠かせない商品となっている。各社は拭き取り部に、はっ水効果のあるゴムを採用するなど、独自の特徴を持たせ、競合製品と差別化している。例えば、PIAA(寺田浩康社長、東京都文京区)の「フラットスノーシリコート」は、接地面からの高さを従来品よりも約38%低減した。空気抵抗を抑制するとともに、払拭性能も強化している。軽量化にもつなげており、モーターへの負荷も抑えた。ワイパーゴムの交換に対応する点も特徴となっている。

日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)によると、前回の年末年始(22年12月29日~23年1月4日)のロードサービスの出動件数は、「四輪」の一般道路で「過放電バッテリー」が2万549件で最多となった。気温が低下すると、バッテリーに負荷がかかり、トラブルが発生しやすくなる。雪国に向かう前に、バッテリーの状態を点検しておくことも無用なトラブルを避けるポイントになりそうだ。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月14日掲載