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2023年12月06日

市販用カーナビ快走 大画面型が人気けん引

市販用カーナビゲーションシステムの販売が伸びている。自動車用品小売業協会(APARA、小林喜夫巳会長)がまとめた加盟小売店でのカーナビの売上高は、10月まで3カ月連続で前年超えした。半導体不足が改善して商品供給力が回復したことに加え、「機能性が高い製品が注目されている」(オートバックスセブンのバイヤー)ことが市販市場での好調な動きを支えている。高機能型のカーナビの中でも、特に「画面サイズが8㌅以上のシェアが伸びている」(イエローハットのバイヤー)という。こうしたモデルは単価も高く、小売り各社の収益力向上にも貢献している。

一般的に大画面型とされるカーナビの画面サイズは、8㌅以上。イエローハットの担当者によると、「大画面のシェアは、前年に比べて1・2~1・3倍ほどで伸びている」という。大画面化した製品はカーナビメーカー各社の上位機種に位置付けられるものが多い。このため、車内のエンターテインメント機能の充実に加え、本来の道路案内でも高付加価値を追求したものも少なくない。高い商品力を実現したことも、市販市場での好調な動きを支えている一因のようだ。

加えて、大画面型カーナビの搭載可能な車種が増えていることも大きい。カーナビやオーディオの取り付け枠が従来のDIN規格だと、この中に収めるには7㌅程度が限界だった。ただ、自動車メーカーが取り付け枠を広げた仕様を増やしたことで、大画面タイプも装着しやすくなった。さらに、カーナビメーカーでも画面をインストルメントパネルから浮かすように設置できる「フローティングタイプ」を開発。規格に左右されなくなったことで、対応車種が広がったことも大きい。

近年、市販用カーナビでも生じている値上げが、大画面製品の需要拡大を後押ししているという見方もある。イエローハットでは主力の7㌅モデルが「約1万~1万5千円ほど値上がりした」という。しかし、利幅がある高機能型カーナビは値上げが比較的緩やかだったため、普及価格帯の製品との価格差が縮小した。こうした状況から、「長期的な使用を見据え、大画面の製品を選ぶユーザーが増えている」と、同社のバイヤーは分析している。

ただ、値上げはユーザーの購買意欲に影響するのも事実だ。オートバックスセブンでは「機能性と価格面を両立した製品を選ぶユーザーも増えている」(担当者)としている。メーカーによってはフローティング型のモニターや通信といった上位機種の機能を、標準モデルに取り入れた製品を用意している。こうしたバランスが取れた製品が増えていることも、市販市場の活気を支えているとみられる。

一方、足元で発売される新型車では、カーナビを標準装着したモデルが目立っている。そうではない車種でも、市販用品との交換が難しい「ディスプレーオーディオ」を搭載するケースも増えている。こうした動きが今後、市販用カーナビの需要に影響を与えるのは間違いないとみられる。ただ、「新車をオーディオレスで購入し、カーナビに交換する顧客も多い」(イエローハットの担当者)など、市販用カーナビに魅力を感じているユーザーが一定数居るのも事実。こうした声に応えられる製品づくりや、小売店での提案力強化が、将来の市場の盛り上がりにつながる可能性が高い。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞11月30日掲載