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2023年12月06日

EV試乗会花盛り リースや損保、手頃なモデル増加が背景

リース会社やダイレクト系損害保険会社による〝フルライン〟の電気自動車(EV)の試乗会が相次いでいる。メーカーから一歩引いた「第三者」として、顧客目線で情報を提供できることが売りだ。さらに、中国・比亜迪(BYD)の「ドルフィン」や韓国・ヒョンデの「コナ」など、EVの中では比較的手頃な価格の乗用車が最近増えてきたことも背景にあるようだ。

東京・湾岸地区で11月30日、「グリーンモビリティフォーラム 最新EV乗り比べ試乗会」が開かれた。三菱オートリース(中野智社長、東京都港区)の主催で、晴天の中、約30社のおよそ60人が参加した。

試乗車はドルフィン、コナに加え、日産自動車の「リーフe+」、三菱自動車の「エクリプスクロスPHEV」を用意。テスラや日産「アリア」、雪国向けにスバルの「ソルテラ」(四輪駆動)など7車種も会場に展示した。これまで、軽自動車やバン、二輪車のEV試乗会を行ってきたが、これだけ多種多様な乗用車をそろえた試乗会は、三菱オートリースでは初めてという。

「乗用EVは日産リーフぐらいだったが、ドルフィンやコナなどがちょうど出そろい、日中韓のEVの試乗会ができるようになった」と、井上晃一執行役員(モビリティサービス開発本部長)は話す。今回は、企業や官公庁向けに営業車のリースを想定した。日本で発売されたばかりのドルフィンやコナが、価格的にも適当とみて試乗車にした。テスラや日産アリアは価格的にやや高めのため、役員車向けとして展示した。

EVは一般的に、内燃機関車に比べて価格が高めのため、支払いを平準化できるリース向きとされる。バッテリー回収やリサイクルの面から、リースが合うという声も多い。こうしたリースの利点をアピールする場にも、試乗会を役立てている。

ダイレクト系損保のセゾン自動車火災保険(佐藤史朗社長、東京都豊島区)も11月19日に、同じく東京・湾岸地区で試乗会を行った。同社の看板商品である「おとなの自動車保険」の契約者の約30人が参加した。試乗車両はBYDやBMW、ヒョンデ、レクサス、ボルボなど10台、展示車両は7台を用意したが、同社にとって、このようなイベントは初めてという。参加者からは「一日に複数台の最新EVを同コース、同条件で乗り比べられる機会は今までにはなく、貴重な体験ができた」などの感想が聞かれ、好評のようだった。

同社はインターネットなどで保険を販売しているが、自動車保険市場が成熟する中、できるだけ顧客との接点を増やすことが経営課題となっている。その一環として、リアルイベントを開いた。また、同社は「SA・PO・PO(サポポ)」というサービスサイトをつくり、顧客に役立つ情報を提供している。ここに、関心が高まっているEVの情報提供を強化していく狙いもあった。

今回は同じSOMPOグループで、ロードサービスなどを手掛けるプライムアシスタンス(大倉岳社長、東京都中野区)が提供している最新の「充電サポート」の実演も行った。

セゾン自動車火災保険の事業推進部サービス開発、平尾昌也部長は「事故が起きた後の保険の提供だけではなく、『お客さまの日常生活の中でのお困りごと』に寄り添い、生活の支えになるようなサービスを提供していきたい」としている。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月2日掲載