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2022年8月03日

21年度機械工具販売 売上額、コロナ前の水準上回る9%増

日本自動車機械工具協会(機工協、柳田昌宏会長)がまとめた会員各社の2021年度機械工具販売総売上金額は、前年度比9・5%増の1164億2800万円と2年ぶりの増加に転じた。20年度は新型コロナウイルス感染症により、整備事業者で設備投資を控える動きもあったが、21年度はその反発もあり販売が回復した。

一方、9年連続で1千億円の大台に到達しており、人々の移動や生活に欠かせない自動車の安全を担保する整備需要の力強さも示した。

国内販売金額は前年度比9・2%増の1092億2600万円、輸出販売金額は同25・4%増の24億2800万円となった。合計金額は19年度と比較すると4・7%増加し、コロナ前の水準を上回った。輸出販売はコロナ前には届かなかったものの、大幅な回復をみせた。

国内市場は整備事業者の投資意欲が再燃したことに加え、生産性向上やコンプライアンス(法令順守)の確保など喫緊の課題の解消につながる機器の導入が進んだ。一方、海外市場は入国制限の緩和などで停滞していた投資案件が進展したことが大きかったとみられる。また、輸入販売金額は同10・1%増の47億7300万円だった。

カテゴリー別では19項目中17項目で前年度を上回った。そのうち、洗車洗浄装置とリフト・ジャッキ・プレス、バッテリー・クーラーサービス機器の3項目が、過去15年間で最高金額を記録した。洗車洗浄装置は作業環境改善機器が、リフト・ジャッキ・プレスは大型車対応機器が、バッテリー・クーラーサービス機器がエアコン用冷媒「R1234YF」対応機器の販売がそれぞれ好調だった。

一方、22年度の見通しは一転して「設備投資がいったん落ち着く可能性がある」(機工協)とみている。新車の長納期化による車両販売の落ち込みが、ディーラーの設備投資の戦略を大きく左右するためだ。また、昨年度から続く原材料や燃料、輸送のコスト上昇とコロナ再拡大による部品のサプライチェーン(供給網)の混乱などが続けば、整備や機械工具の販売に影響を及ぼす可能性もある。

機工協によると、足元ではコンピューター車検システムやフリー・ローラー、自動式ヘッドライトテスター、小型車用リフトなどで納期遅延が発生しているという。

ただ、こうした環境の中でも各社は「既にコロナ前と同等の営業活動を行っている」(同)状況にある。整備事業者では今後、電動車など次世代車への対応強化が求められており、対応機器や設備更新をいち早く取り込むことで、機械工具のさらなる販売拡大を目指している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月30日掲載