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2022年5月16日

日刊自連載「21年度乗用車市場動向調査から」(中)新型コロナの影響

日本自動車工業会(自工会)が行った今回の調査では、トピックの項目に新型コロナウイルス感染拡大の影響を加えた。安全・安心な移動手段として〝3密〟を回避できる自動車の存在感が高まり、公共交通機関から自家用車へのシフトが進んだことが明らかになった。

新型コロナウイルス感染拡大前後での移動手段と日常生活の変化について結果を分析した。

移動手段では、増加の回答が最も多いのは「自家用車」で39%。特に首都圏中心部(23区)や近郊(40㌔㍍圏)で高い数値を示した。一方、減少の回答で最も多いのは「公共交通機関」と「新幹線・飛行機」で35%。「自家用車」も24%と、一定数が車の利用も控えたことがうかがえる。

日常生活では、増加の回答が最も多いのが「ネットショッピングの利用」で35%。「家族と過ごす時間・機会」が32%で続いた。「食事のデリバリーサービス」が15%で、「趣味にかける時間・機会」と「在宅勤務」は14%だった。特に「在宅勤務」は年収が高くなるほど増加する傾向が表れている。

一方、減少の回答で最も多いのは「外食の時間・機会」で80%。「友人・知人と会う時間・機会」が77%、「長距離移動」が61%で続いた。

外出頻度では、減少の回答の最上位が「日帰り旅行」と「宿泊を伴う旅行」の73%。「アウトドア・レジャー」は66%、「ドライブ」は55%、「帰省」と「休日」は53%だった。

自家用車の利用頻度でも、減少の回答の上位は外出頻度と同様に「日帰り旅行」と「宿泊を伴う旅行」「アウトドア・レジャー」「ドライブ」「帰省」「休日」が占めたが、いずれも割合は外出頻度と比べ約10㌽低い。ライフステージ別では独身期や家族形成期に比べ、家族成長後期の減少幅が大きくなっている。

新型コロナウイルス感染拡大前後での日常生活の変化について若年層の分析も行った。

若年層車非保有者(20代以下の社会人で、主に運転している車を持っていない人)では、増加の回答の上位は「ネットショッピングの利用」の30%と「家族と過ごす時間・機会」の25%で、いずれも全体の回答に比べ割合が低いが、「在宅勤務」は23%と高い数値を示した。

減少の回答の上位は「友人・知人と会う時間・機会」が49%、「外食の時間・機会」が47%、「長距離移動」が39%で、いずれも全体の回答に比べ割合が低い。若年層ではコロナ禍前後で日常生活の変化が小さい傾向が表れている。

外出頻度では、減少の回答の最上位が「宿泊を伴う旅行」が46%で、「日帰り旅行」が45%、「アウトドア・レジャー」が39%、「ドライブ」が24%、「帰省」が33%、「休日」が29%と、日常生活と同様にコロナ禍前後で変わらないと回答する割合が多い。

今後1年の行動変化の予想では興味深い結果が表れた。生活変化の回答では「外食の時間・機会」と「友人・知人と会う時間・機会」、「長距離移動」は増加が2~3割程度で、減少は2割程度。外出頻度と自家用車利用の回答でも「ドライブ」と「アウトドア・レジャー」、「旅行」は増加が2~3割程度で、減少は2割程度だった。

新型コロナウイルス感染拡大で大幅に減少した「外向きの生活」や「長距離移動を伴う外出」が1年後にコロナ禍前の状態に戻るかについては、見方が分かれることが浮き彫りになった。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月6日掲載