会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2022年5月16日

スバル、群馬にEV専用工場を新設 25年めどに生産開始

スバルは12日、2027年以降に電気自動車(EV)の専用生産棟を群馬県に新設すると発表した。25年をめどにガソリン車との汎用生産ラインでEVの自社生産を開始し、その後専用生産棟を立ち上げる。ハイブリッド車(HV)の生産も拡充する方針で、今後5年間で電動車の生産体制拡充に2500億円を投じる。

国内メーカーの中でもEVに慎重だったスバルだが、環境規制の厳格化や顧客のニーズ拡大を踏まえ、電動化を加速する。

国内生産体制の再編の一環で電動車生産への投資を発表した。25年をめどに矢島工場(群馬県太田市)にEVとガソリン車を混流生産する生産体制を構築し、20年代後半にはエンジンやトランスミッションを生産する大泉工場(群馬県大泉町)の敷地内にEV専用棟を新設する。

12日に発売した初の量産EV「ソルテラ」は、共同開発先のトヨタ自動車の工場で生産するが、自社生産に乗り出す。国内でEVの専用生産工場に投資する方針を発表したのはスバルが初めて。国内に加え、米国でのEV生産に向けた投資も同時に検討していく。

スバルは20年、世界新車販売台数の40%以上を30年までに電動車(ストロングハイブリッド車含む)とし、30年代半ばにはすべての車に電動技術を搭載すると発表した。ただ、EVに関しては商品力やインフラなどの課題が多く、競合他社と比べても後ろ向きだった。

しかし、米国など海外を中心に急速にEVの普及を促すための政策が進行するほか、ソルテラの開発や販促を通じて「いろいろな人に高く評価してもらい、これだけ航続距離があれば販売していけるということも分かった」(中村知美社長)と判断。今回、本格的にEVの生産に投資することを決めた。

一方で普及に向けた過渡期においては需要に応じた生産体制の柔軟性も重視する。EVとは別にマイルドハイブリッド車用システム「eボクサー」の生産体制も拡充する。スバルはこれまで独自のマイルドHVとしてeボクサーを展開してきたが、20年代半ばにはトヨタの「トヨタハイブリッドシステム」を採用した次世代型を投入する予定。

これに向けて産業機器の生産工場だった北本工場(埼玉県北本市)でeボクサー用変速機の生産を始める。車両の組み立てはこれまでの矢島工場に加え、本工場(群馬県太田市)でも開始する。市場の動向を見極めながらEVとHVに最適なリソースを振り向けて二酸化炭素(CO2)の削減を推進する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月13日掲載