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2022年5月12日

「カーツーリズムフェスタ」 災害時に役立つキャンピングカーが存在感

キャンピングカーの活用方法として、レジャーだけではなく災害時にも役立つことを周知する動きが広がっている。4月23、24日に有明ガーデン(東京都江東区)で開催された「カーツーリズムフェスタ」では最新のキャンピングカーの展示に加えて、行政などで災害時に活用できる特別車両の展示も目立った。

キャンピングカーの幅広い活用方法は多くの来場者の注目を集めていた。今後、汎用性の高いキャンピングカーの社会的役割がさらに向上する可能性もありそうだ。

同イベントを主催したのは、日本カーツーリズム推進協会(JCTA、川崎康一郎会長)。2020年に前身の「日本カートラベル推進協会」から体制を一新して以降、初の大規模主催イベントの開催となった。

川崎会長は「キャンピングカーの展示を中心に、キャンピングカーレンタルやクルマ旅の楽しみ方を提案する」としたほか、「他の業界団体とも連携し、クルマが災害時にも役立つことをアピールできる場にしたい」と、一般的なキャンピングカーのイベントとは異なるテーマも重要視している。

災害時にも活用できる車両は、会場の随所で目を引いた。ベルネット(旅する車、鈴木一弘代表、東京都八王子市)は「旅バスDSV(災害支援車両)」を初披露。マイクロバスをベースにしたもので被災地に即座に駆け付け、指揮車両としての役割を想定した装備となっている。

一般家庭で約10日分の電力を賄える蓄電池を備えているほか、出力1千㍗のソーラー発電機も搭載している。車両の側面にはデジタルサイネージを設置し、情報の発信にも役立てる。非常用の浄水システムも採用し、高い緊急対応力を実現した。

今後は行政や企業などに提案するほか、貸し出しも行い、利便性を訴求した上で販売につなげる考え。地方自治体ではマイクロバスの保有率が高い一方、稼働率の低さも課題になっているという。こうした車両の更新のタイミングでの置き換えや、保有車両の改造なども請け負う計画だ。

日本特種ボディー(蜂谷愼吾代表取締役、埼玉県越谷市)は、昨年発表した「エクスペディションイーグル」を展示した。同モデルは他のキャンピングカーと異なり、高い走破性が特徴。蜂谷社長は「被災地へ即座に駆け付けられ、防災を意識した企業や自治体などからの引き合いも強まっている」と明かす。

さらに「自治体との災害時協定も進行中」としているほか、「(同モデルの)レンタカーも配備し、災害時に派遣できる体制を整えたい」との意気込みを見せる。

被災時に問題となるシャワーやトイレの設置の解決を目指しているのが、トレーラーハウスデベロップメント(大原邦彦社長、東京都中央区)だ。同社ではトレーラーに積載した移動式の仮設トイレやシャワー設備などを展示。仮設住宅のように組み立てる必要がなく、輸送するだけで設置が完了する。これ以外のさまざまな設備のトレーラーとの組み合わせも自在で、被災地の実態に合わせた運用がしやすくなる。

また、近年では、感染症の検査や簡易的な診察が可能な「メディカルキューブ」と呼ぶ移動式のトレーラーハウスも、医療機関などからの需要が高まっているという。同社では「より多くの人に利便性を知ってもらい、認知度向上に取り組む」考えだ。

一方、企業や行政の制服などを手掛ける岡本(岡本和也社長、鹿児島県姶良市)は、架装ブランド「キャンパー鹿児島」とコラボレーションしたウール素材のTシャツを販売した。「素材の特性から数日着てもにおいが気にならず、防災とアウトドアの親和性も高い」(岡本社長)のがコンセプト。

同社ではコロナ禍を機に働き方に変化が生じたことから注文が減少しており、防災機能を高めたキャンピングカーユーザー向けの商品提案で、新たな顧客開拓につなげていく狙いだ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞4月28日掲載