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2022年4月28日

ウィズコロナで変わる営業手法 整備入庫や新車販促にSNS浸透

コロナ禍での生活スタイルの変容が、整備工場やディーラーにおける整備入庫の予約案内、新車の販促といった営業活動の変革を後押している。活動が制限された中、顧客が求める対応を精査し、効率化や入庫施策を見直すなどの動きが広がっている。〝ウィズコロナ〟の社会が続く中、営業手法はどう変わっていくのだろうか。

近年の整備入庫や新車の営業活動は来店型のスタイルが主流で、納車引き取り業務や訪問活動は極力なくす方向にある。しかしながら、コロナ禍になった当初、ユーザーは店へ行くことをためらった。

国からも「人との接触を減らすように」との要請があるなど生活様式が一変し、来店時に顧客との関係構築を図る活動にも支障が出た。そのため各店舗は感染予防対策を施し、その取り組みをDMやウェブサイトなどでユーザーに告知し、来店の際も安心してもらえるよう努めた。

同時に非対面、非接触型の活動も推進された。顧客への連絡にメールやSNSなどを活用する動きが助長する流れになった。さらにこれまでは点検時期の案内にとどまっていたが、入庫日時の予約まで完了できるシステムの導入も進んだ。

トヨタ自動車では、顧客向けウェブサイト「マイトヨタ」を通じて、ユーザー自身で点検の予約をオンラインで行える「整備手帳」の仕組みを構築。顧客はアプリを通じて24時間365日いつでも予約ができ、整備履歴の確認も行えるため利便性が大きく向上している。

従来は顧客の他社流出を防衛するためにも、電話などで人を介して入庫案内を定期的に行う活動が基本だった。今はテレコールを併用しつつ、業務効率向上のためオンライン予約を推奨する動きが広がっている。ユーザーにとっても、店の営業時間外に予約が入れられることなどメリットは大きい。こうした施策は以前から着手されてきたが、コロナ禍で利用が進んだ。

一方、新車販売の営業活動でも、新規客の来場を目的に不特定多数のユーザーを対象とした来場促進が図りにくくなった。「コロナ前までは土日のイベントに何人呼び込めたか、数(量)にこだわっていたが、コロナ禍で変わらざるを得ない状況になった」(トヨタモビリティ東京・中野猛志トヨタ第14エリア統括部長)という。

活動の見直しが求められている中、ウェブサイトを活用する動きがより広がっている。業平自動車(菱沼進一社長、東京都墨田区)グループでは、インターネット環境整備のための専門チームを立ち上げ、ホームページ(HP)の改修に着手。それまでは会社紹介の域を出なかったHPの内容を、インターネット配信型のスタイルに変更、閲覧のきっかけとなるトリガー情報をSNSより発信している。

三菱自動車の新型「アウトランダーPHEV」の紹介では、補助金に関する詳しい情報を盛り込んだ結果、アクセス数が増え、オンラインでの受注につながっているという。こうしたネット戦略は、これからの営業展開では不可欠になろう。

そのほか感染予防対策の観点から営業時間の短縮が見られている。ホンダカーズ中央神奈川(新海克巳社長、神奈川県大和市)では、今年4月より毎週火曜と水曜を全休にした。「社員の健康面と業務効率を考えた。体力がなければコロナにも打ち勝てない」(新海社長)としている。労働環境の整備など働き方改革を推進する動きがコロナ禍で広がっている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞4月25日掲載