2019年7月9日
ボッシュ、ASV事故修理で新ビジネス展開
ボッシュは独自の整備工場網「ボッシュカーサービス(BCS)」を活用した新ビジネスの展開に乗り出す。事故車両データの読み出しと、先進安全技術の校正作業(エーミング、キャリブレーション)を組み合わせ、先進安全自動車(ASV)の事故修理におけるアジャスター業務の支援と校正作業の受託を見込む。自動運転社会の実現を見据え「整備業は正確な修理と作業記録、エビデンスが重要になる」(ボッシュ)と見ている。まずはBCSがその先導役を担うことで、ASVに対応した高い整備品質を提供するネットワークを整える。
新たなビジネスモデルは次世代自動車の保険修理に対応したもの。BP工場と損保会社との連携を強めたのが特徴で、今後BCSへの導入を進めていく。まずBCSが担うのが損保会社から入庫誘導される事故車両からのデータ抽出だ。
現在の事故調査は損保会社が整備、BP工場にアジャスターを派遣し、損傷箇所の確認や修理見積もりを算出している。今後は運転状況を記録する車載システム「EDR(イベント・データ・レコーダー)」を活用した調査手法も増える見通しで、BCSがこれをサポートする。
BCSにはEDRデータを読み出し、解析する専用機器「CDR(クラッシュデータ・リトリーバル)」と同機器を使ってEDRデータを分析する「CDRアナリスト」が在籍しており、新たな仕組みではアジャスター業務を代行。損保会社の業務効率化を支援する。損保会社からの確実な入庫誘導、認定工場化なども想定している。
もう一つの業務が校正作業の受託だ。先進安全技術を搭載した車両は修理後の校正作業が不可欠であり、BCSが車両修理を担う整備、BP工場からの校正作業を請け負う。
ボッシュはこの仕組みをBCSの新規加盟にもつなげる考え。これまで車両修理を担ってきた整備、BP工場がBCSに加盟すれば、損保会社からの入庫誘導からEDRデータ抽出、修理、校正作業まで一気通貫で業務を受託できる可能性があるためだ。
同社は新たなビジネスモデルを「CDR+ADASビジネス エコシステム」と名付け、次世代自動車の普及拡大に対応した整備ネットワークとして構築を進める。
EDR(イベント・データ・レコーダー) EDRはエアバッグ制御用コンピュータに内蔵され、エアバッグの作動有無を判断している。衝突から約5秒さかのぼって、車速やブレーキ操作、操舵角、衝突規模、アクセル開度などさまざまな車両情報を記録している。EDRデータは自動運転車における事故調査での活用が検討されている。ドライバーの操作ミス、システムエラー、外的要因、整備ミスなど、車両に何が起ったのかを解析することで、事故責任を明確化できる可能性があるとして、国も搭載義務化の方針を打ち出している。
日刊自動車新聞7月5日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | ボッシュ(株) |
対象者 | 自動車業界 |