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自動車産業インフォメーション

2019年7月1日

国交省、地域交通の維持・確保へ補助制度を見直し

国土交通省は25日、地域交通の維持・確保に向けた支援制度の見直しなどを盛り込んだ提言をまとめた。バス事業者に対する赤字路線への補助制度を見直し、自治体や地域住民の合意の下で、必要な路線に的確に支援することが重要と指摘する。民間企業だけでなく地方自治体が交通網に関する計画の策定に携わり、具体的な目標を明確にして実効性を高める。支援の見直しについては2020年度以降の予算要求に反映させ、法改正が必要な事項は次期通常国会への法案提出を目指すべきとしている。 国交省は、人口減少に伴い地域交通を取り巻く経営環境が厳しくなる中、公共交通網を維持する方策を検討する「地域交通フォローアップ・イノベーション検討会」を18年11月に開催。有識者を交えて、これまで10回にわたり議論を重ね、25日に提言としてまとめた。国交省は今回の提言を受けて、制度設計の見直しを行う方針。

地域交通の活性化や再生に関する法律の下、自治体や交通事業者などの関係者が主体的に交通計画を策定するとしている。また、国の支援制度としてバス事業者の赤字路線に対して運行経費の補助をしている。今年度は220億円の予算を確保した。

この支援策は、バス事業者一社ごとに許可をしてから赤字分の補助をする仕組み。地域関係者による協議会の合意の下で策定したプランで示す残すべき路線と必ずしもマッチしない可能性もある。地域で策定した計画と補助制度をリンクさせるために、協議会の意見を元に補助する対象を定めることが重要としている。

自治体や交通事業者が集まって策定・実行する計画の実効性も高める。これまでに全国で500を超える地域で交通網に関する計画が作られている。ただ、そこで掲げたビジョンの達成率が低い。施策内容などを目標に記載して明確にして実現に近づける。

政府の成長戦略実行計画案に盛り込まれている施策とも連動させる。乗合バスの事業者間の共同経営を認めるよう独占禁止法の適用を見直す方針。これに合わせて、ドライバー不足を解決するため、交通事業者間の経営連携やダイヤ調整を円滑に行う。

自家用有償旅客運送制度や相乗りタクシーといった既存の資源を有効活用することを挙げる。このほか、MaaS(サービスとしてのモビリティ)をはじめ、新技術を取り入れた移動サービスの積極的な利用も必要としている。

日刊自動車新聞6月27日掲載

開催日 2019年6月25日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界