会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2019年7月1日

ホンダ、インターナビ活用 ビッグデータの事業ニーズ把握へ

ホンダがナビゲーションシステム「インターナビ」で収集したビッグデータを活用したソリューション(課題解決)事業の可能性を模索している。インターナビは通信機を搭載したホンダの純正カーナビで、横滑り防止装置などの制御情報や位置情報などがホンダに集まる。ホンダは、これらのデータが一般企業や自治体の課題解決に貢献できると考えているが、車両データが応用できることはあまり知られておらず、可能性は未知数だ。さまざまな実験を通じて、企業のデータ活用のニーズ把握に乗り出した。[98年に開始] ホンダは双方向通信を行う独自のカーナビゲーションシステム「インターナビシステム」のサービスを1998年に開始。ユーザーに対してリアルタイムな渋滞情報を反映したルート案内などを配信できるようになった。

同時に、ホンダはインターナビの通信機能の活用によって、車両の位置情報や時刻情報、横滑り防止装置などの制御情報が各車両から収集できるようになった。車両データは数分間隔でセンターに集めている。震災発生時には、車両の走行軌跡を通行可能な道路情報として公開し、被災地域での車移動に役立ててもらうなどの取り組みをしてきた。現在はインターナビ搭載車が国内で410万台が走行している。

[きっかけは外食チェーンとの実証] ホンダは当初、そうした公共性のある事業や取り組みにのみ、データを提供してきた。この方針が変わるきっかけとなったのが、15年頃に外食チェーン企業と行った実証だった。来店客の車両の移動情報をもとに、競合店舗がある地域はどこか、どのジャンルの店舗と競合しているかを分析したところ「マーケティング活動にとって、筋が良さそうな情報だということが分かった」(経営企画統括部・ビジネス開発部・ビジネス開発課の福森穣主任)という。事業性を感じ、データの解析情報を有償で民間企業にも提供する「ホンダドライブデータサービス」事業を17年末に開始した。道の駅向けに来場した人の行動を分析したり、タクシーの配車アプリ向けに到着時間を表示するための情報などを提供してきた。

今年の9月から始めるのが、栃木県の自治体と協力して行う一般道での渋滞緩和の実証実験だ。ホンダ車のデータから渋滞状況を分析、道路上に設置する掲示板で別ルートへの迂回を提案することで、交通量を分散させようというもの。一般道での渋滞緩和にインターナビのデータを活用するのは今回が初めてだ。

日刊自動車新聞6月27日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

本田技研工業㈱

対象者 自動車業界