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2019年7月1日

トヨタ、販売チャンネル維持 系列の営業力生かす

トヨタ自動車は、2020年5月に前倒しする全販売店全車種併売で、トヨタ車販売4チャンネルを継続する方針を明らかにした。

全車種併売を先行実施した東京の直営店ではチャンネルを一本化したが、全国では販売系列を残し、各販売店が持つ顧客基盤と営業力を生かした販売戦略を持続する。チャンネルごとに異なる店舗意匠についても現状を維持する方針だ。各販売店が築いてきた販売系列のアイデンティティを生かしながら、全車種併売による新規顧客の開拓や新サービスの導入を目指す。(関連15面) トヨタ国内販売事業本部長の佐藤康彦執行役員が日刊自動車新聞社の取材に応じ「チャンネルは屋号であり、歴史であり、販売店の原点でもある。一本化することが好ましいとは思っていない」と述べ、全国では全車併売後も4チャンネルを維持する考えを示した。顧客とのタッチポイントとなる店舗のあり方については販売店と話し合いを進め、全車併売を機に一気に店舗意匠を統一することはしない方針だ。

19年度中に国内投入を予定する「カローラアクシオ/フィールダー」と「ヴィッツ」の新型車については、20年5月までそれぞれカローラ店とネッツ店の専売車種として販売する。全販売店の取り扱いになっても、各販売チャンネルが有する顧客基盤で代替え需要を獲得していく従来の販売手法は継続する方針。トヨタ店の「クラウン」やトヨペット店の「ハリアー」といった専売車種も、それぞれの販売系列が中心になって拡販に取り組む。

国内メーカーとしてもっとも遅く全国で共通車種を取り扱う販売網に切り替えるトヨタだが、販売系列を一本化したホンダや日産自動車とは異なり、販売チャンネルを廃止しない立場を貫く。地場資本が9割を占めるトヨタでは、販売系列が販売会社の歴史や社風、顧客基盤の礎となっている。全車種併売後も販売店が築いてきた既存のビジネスモデルで収益を維持しつつ、新サービスの可能性を模索していく考えだ。

日刊自動車新聞6月27日掲載

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