2019年6月29日
脳科学で楽しさ追求 マツダ、実車開発に採り入れ
マツダは、脳科学を採り入れた自動車の研究開発を加速する。MRI(マグネティック・レゾナンス・イメージング=磁気共鳴画像)スキャナー用のドライビングシミュレーターを開発し、プロドライバーの感性を数値化できる仕組みを構築した。今後、精度を高めることにより、実車開発での早期適用を目指すとともに、エンジン音などの聴覚が脳に与える影響の研究にも取り組む。プロドライバーの感性を頼りに作り上げてきた「車を操る楽しさ」を数値化し、人馬一体をより高いレベルで実現する。 マツダは、文部科学省の「センター・オブ・イノベーション」の一環で広島大学とともに脳科学の研究を進めてきた。
業界他社でも、ヘッドセットで取得した脳波データをもとに感情や感性を可視化する研究が進められているが、マツダは「運転で活性化するのは脳の深い場所。MRIによる検証が不可欠」(担当者)とし、走行風景を表示するディスプレーや木製ステアリングを組み合わせたシミュレーターを開発。直近では、ステアリングの反力が大きい場合、操作前の待機時間中に不安感と関連のある脳の部位が活性化していることを実証した。
今後は、脳計測の精度を高めるとともに、対象領域を聴覚などにも拡大する。MRI特有の騒音を解消し、より実車に近い環境を再現できる仕組みをつくる検討を始めた。触覚や視覚だけではなく、聴覚が脳に与えている影響も検証し、一般のドライバーがより心地よく運転を楽しめる車両を開発する。
脳の研究は自動運転の開発にもつながる。自動運転の開発を巡っては「自動運転で車の楽しさが無くなる」というスタンスの自動車メーカーは多い。マツダもその1社だ。「楽しさ」の理解を深めることで、マツダらしい自動運転の開発を進める考え。
マツダは車両構造技術「スカイアクティブ-ビークル・アーキテクチャー」などを通じて、人の特性の研究と車両開発への応用に力を入れている。脳科学を採り入れることで、より高度な新型車開発に結びつける。
日刊自動車新聞6月26日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | マツダ㈱ |
対象者 | 自動車業界 |