2019年3月16日
経産省、世界に先駆け次世代型電池開発加速 30年めどに実用化
経済産業省は、リチウムイオン電池(LIB)に代わる次世代の革新型蓄電池の実用化を加速する。亜鉛空気電池など実現の可能性が高い3タイプの電池を選び、現行の液体LIBを大幅に上回る性能で2030年に実用化、電気自動車(EV)などの電動車に搭載することを目指す。産学官共同で基礎研究から実用化にいたるまでの技術開発と評価体制の確立を進め、世界に先駆けて革新型蓄電池の製品化につなげる。
政府は30年までに、新車販売台数に占めるEVやプラグインハイブリッド車の割合を最大で30%に引き上げることを目標に設定している。その達成には、ガソリン車並の航続距離を持つEVの実現に不可欠な革新型蓄電池が必要だと経産省はみている。
蓄電池の性能は重量1キログラム当たりのエネルギー密度(Wh/キログラム)であらわす。現在、電動車で主流の液体LiBは250Wh/kg程度が性能限界とされる。経産省では、その倍の500Wh/kg程度の性能を持つ蓄電池が実現できれば、EVの航続距離が1千キロメートル程度に伸びるなど利便性が飛躍的に向上するとみている。
革新型蓄電池の候補として挙げるのは亜鉛空気電池のほか、硫化物電池とナノ界面制御電池の計3タイプ。いずれも「実験レベルでは十分な性能が出ている」(経産省)という。ただ、亜鉛空気電池では耐久性や入出力特性、硫化物電池では安全性確保、ナノ界面制御電池では材料の探索や耐久性などに課題が残る。
研究開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が中核、産業技術総合研究所(産総研)と京都大学が研究集中拠点となり、トヨタ自動車や日産自動車、本田技術研究所、三菱自動車など民間企業からの出向者らによる「革新型蓄電池実用化のための基盤技術の開発事業」で進める。経産省では19年度、前年比3億円増の34億円の予算を確保した。同事業では、革新型蓄電池の技術開発と共通課題の検討のほか、解析技術の高度化なども展開する。
日刊自動車新聞3月13日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | 経済産業省 |
対象者 | 自動車業界 |