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2018年11月22日

若年層の心つかむ本格オフローダー人気

本格派のオフロード車が人気だ。スズキ「ジムニー」やメルセデス・ベンツ「Gクラス」、ジープ「ラングラー」が相次ぎ新型に切り替わり、販売台数を伸ばす。車格や価格は異なるが、共通点は従来のファンに加えて新たな顧客層を獲得している点。いずれも流行りの都市型SUVと一線を画す本格派だが、若年層を中心とした本物志向を捉えることに成功している。

「想定を超える反響で『ハスラー』以来のインパクトだ」。スズキの販売会社首脳は新型ジムニーの人気ぶりに驚く。20年ぶりに全面刷新した新型車は、7月の発売直後から注文が殺到し、受注がメーカーの想定を大幅に上回ったことで納期が長期化している。スズキは「受注傾向はまだ集計できていないが、ディーラーからは新規客の注文が多いと聞いている」と話す。

メルセデスのGクラスは、車両価格が1500万円を超す高級オフロード車だ。6月の発表時にあえて「全面刷新」という表現を使わなかった新型車は1979年のデビュー以来、約40年ぶりに大がかりな改良が加えられた。ただ、外観デザインはひと目では新旧の見分けがつかない。根強いGクラスファンに配慮した格好だ。新型車は旧型からの代替が多くを占めるが「新規客やまったく違うセグメントからの代替も多い」(メルセデス・ベンツ日本)という。Gクラスに関心を持っていた富裕層が、より現代的になった新型車を買い求めているようだ。

ジープのラングラーも根強い人気があった。世界販売台数で米国を除くと日本が1位となる。Gクラス同様、ラングラーの新型車も伝統的なデザインを踏襲しつつ、安全性能や装備は現代の車両と同等水準にした。FCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長は「ラングラーの平均購買層は30代。より若い世代や40~50歳代にもアピールしていく」と意気込む。

本格オフロード車が注目される背景には消費者意識の変化もありそうだ。SUVは車格やブランドを問わず多様な車種が市場に溢れる。いずれも販売は好調だが、本格オフロード車は「人とは違うクルマに乗りたい」と考える消費者ニーズの取り込みに成功している。
スズキの担当者は「新型ジムニーは『インスタ映え』するという評判を聞く」と明かす。女性や若年層の利用者が多いSNS(交流サイト)でも注目を集めるようになり、新しい顧客層の開拓にもつながっているようだ。

日刊自動車新聞11月19日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社取材

対象者 一般,自動車業界