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自動車産業インフォメーション

2026年10月29日

NGP、カーボンクレジットの市場取引開始 資源循環と脱炭素化の両立 4883tの排出削減 対象部品の拡大を推進

NGPは13年から産学共同研究を続けている

 NGP日本自動車リサイクル事業協同組合(小林信夫理事長)が、環境価値の創出に力を入れている。10月27日にリユース部品を活用して生み出したカーボンクレジットの市場取引を開始。自動車業界でサーキュラーエコノミー(循環型経済)の重要性が高まる中、資源循環と脱炭素化の両立を目指す新たなアプローチが動き始めた。NGPは対象部品の拡大を段階的に進める方針。組合員が生産している中古部品の価値を高めることで、NGPのブランドイメージの向上にもつなげていく。

 カーボンクレジットは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス(GHG)排出量の削減分を取引する仕組み。自動車のリユース部品を活用したものは、「自動車リサイクル部品活用によるCO2排出削減プロジェクト」として関連会社のNGP(佐藤幸雄社長、東京都港区)が活動を主導している。今回、民間企業やNGO(非政府組織)などが発行する環境証書の一種「ボランタリークレジット」として、4883t―CO2換算(以下トン)を発行した。審査や検証は独自の制度を手掛けるリンコラ(野村恭子社長、東京都港区)が実施。リンコラによると、自動車のリユース部品を活用したカーボンクレジットは世界初(2026年10月現在)だという。

 クレジット化したリユース部品は、販売数量の多い「エンジン」「バンパー」の2つ。23年6月24日~26年6月30日に販売した商品を対象にした。この4883トンは、修理や補修などにおいてリユース部品を使ったことで、新品部品の製造や輸送などに伴うGHG排出を減らせた成果となる。具体的には、新品の部品生産に伴う原材料の採掘や精製の抑制、使用済み部品の廃棄・埋め立ての削減に加え、グローバルなサプライチェーン(供給網)において輸送負荷を低減したものを示す。

 NGPは13年から富山県立大学や明治大学との共同研究で、原料調達から廃棄までのライフサイクルアセスメント(LCA)を通じたリユース部品によるCO2削減効果の定量化を進めてきた。この研究成果として、22年には削減効果を数値で示した「環境貢献書」の発行を開始。保険会社や自動車リース会社、整備工場などに提供している。

 今回のカーボンクレジットは、これまで進めてきた「環境価値の見える化」を発展させた取り組みとなる。環境貢献書の削減値は、あくまで「参考値」との位置付けだったが、第三者認証によるクレジット化で「取引可能な環境価値」になった。これにより、リユース部品による環境負荷の低減効果を、広く社会で活用できる仕組みを整えた。

 一般的にカーボンクレジット化に当たっては、適用範囲や排出削減量、吸収量の算定方法、モニタリング方法などを規定するガイドラインを用いる。今回はリンコラが26年5月に「自動車パーツリサイクル」を策定。NGPが産学共同研究で蓄積したデータを基に外部専門家の客観的なレビューと制度運営委員会の承認を経て策定した。

 NGPは組合全体として、30年までに使用済み自動車の処理台数を1千万台、リユースなど2千万点、CO2削減量50万トンの達成を目指している。今回のボランタリークレジット化はこの実現に向けた基盤となるものだ。

 対象部品は一般ユーザーから引き取った車両に加え、全損車の回収に関する業務委託契約を結んでいる、あいおいニッセイ同和損害保険からの引き取り車両などから生み出す。使用済み車の適正処理を進めつつ、部品の再利用を通じた資源循環を後押しする。

 NGPでは今後、対象部品の種類や点数を増やしていくとともに、ボランタリークレジットの活用法も提案していく。例えば、クレジットでオフセット(相殺)した商品やサービスの提供などを想定している。

 また、リユース部品を活用した環境価値を生み出す取り組みは、リサイクル業界にとどまらず、自動車産業を全体に広く提供したい考え。企業の脱炭素化への活動を支援していくことで、NGPの存在感を高める考えだ。

(編集委員・水町友洋)

リンコラが運営するボランタリークレジットの創出・取引プラットフォーム「アースストーリー」で販売している

カーボンクレジット発行証書

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月29日掲載