2026年10月28日
交通安全
日本自動車会議所、高齢者の運転寿命の延伸へ 認知症を早期診断 豊田市で実証し事業モデル確立目指す
日本自動車会議所(豊田章男会長)は、高齢者が安全に運転できる期間を延ばす取り組みに乗り出す。高齢者の健康状態を把握し、認知症の早期診断や対応を進めることで「健康運転寿命延伸」を図る。まずは2026年度中に愛知県豊田市で実証を開始し、自治体や民間企業を巻き込んだモデルケースの確立を目指す。安全技術や免許返納だけでなく、高齢者の健康状態を維持することで交通事故の減少を目指す。
自動車会議所は、交通事故につながる高齢者の認知機能の低下に着目し、自治体と連携した「健康運転寿命の延伸プロジェクト」を進めている。日本神経学会などのガイドラインによると、65歳以上の高齢者のうち、認知症患者は12.3%、軽度認知障害(MCI)は15.5%を占める。MCIは早期発見で認知機能維持および回復できる可能性が高いが、診断率は1割を切るという。
同プロジェクトを進める豊田市では、スマートフォンに40秒の音声を入力することで健康状態を簡易に検査できるアプリを活用する。察知した認知症リスクを基に医療機関と連携し、認知機能の維持・回復に向けた適切なプログラムを用意する。
自動車会議所によると、MCIから正常認知に戻る割合は16~41%で、対策を講じることで認知症発症を2~5年遅延できる可能性があるという。高齢者が日常的に健康状態の変化に気付く環境を整え、医療機関で認知機能の維持・回復につなげるモデルケースを豊田市の実証で確立し、他の自治体に拡大していきたい考え。
取り組みの普及には課題もある。同プロジェクトの実証に参画する豊田市内のバス・タクシー会社の豊栄交通では、認知症リスクが発覚した後の就労判断やサポート体制確立の重要性を指摘する。特に地方の交通会社は職業ドライバーの高齢化が進んでおり、社会や業界でルール設計を進めていく必要がある。
国は社会保障改革の柱として「攻めの予防医療」を掲げており、認知症を重点領域の一つに据える。MCIの早期発見による認知症発症リスクの低減は将来的な医療費の抑制につながる可能性が高い。自動車会議所のプロジェクトは、大手製薬会社など民間企業も高い関心を示しており、健康運転寿命延伸の活動機運を官民に広げていく。
運転寿命を延ばしながら交通事故減少を目指す(イメージ)
| カテゴリー | 交通安全 |
|---|---|
| 対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞 10月28日掲載












